研究概要 |
マルチユニット計測データからニューロンの活動様式の類似性に応じて集団を階層的にクラスタリングすることを研究目標においている.2013年度には,スパイク列から入力信号のみならず細胞内パラメータをも推定する手法へと解析法を拡張した(Shinomoto & Kim, 2013).その推定方法をより現実的なニューロンモデルに適用させる準備も行った(Kim & Shinomoto, 2014).また非ポアソン信号の情報伝達能力についての理論解析を行った(Koyama et al., 2013).さらに,スパイクの発生レート変動を隠れマルコフモデルにより不連続的にとらえることと,経験ベイズ法によって連続的な変化としてとらえるモデルの比較を通してスパイク時系列の背後に横たわるコーディング様式を分析する手法を開発した(Mochizuki & Shinomoto, 2014).これら解析理論を構築すると同時に,マルチユニット計測された複数のスパイク時系列の解析に取りかかり,まず細胞集団をクラスタリングする手法の構築を始めた.手始めとして現在,複数のスパイク時系列の統計独立性の破れの情報から神経結合推定を行う作業に取り組んでいる.解析に用いたデータは覚醒行動中のラット,サルから計測を行っている研究グループより提供を受けている.神経結合推定の手法としてはこれまでにcross correlation法,transfer entropy 法,jittering法,などいくつかの方法が提案されているので,それらを実計測データにあて,各推定手法によって推定されたニューロン間結合の整合性を確認する作業を開始した.
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