研究領域 | メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤 |
研究課題/領域番号 |
25115721
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 文隆 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00202044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | LTP / LTD / STDP / 水平結合 / ヒゲ入力 / 臨界期 / 可塑性 |
研究実績の概要 |
我々は4層-2/3層間シナプスにおけるスパイクタイミング依存性可塑性(STDP)の変化が、生後12-14日(P12-14)に起こることと、臨界期開始が密接に関与していることを示した。同時に、臨界期前には2/3層細胞へは4層からと視床から2つの異なるSTDPが収束していることを見出し、これらが互いに協調して回路の再編を行うことを見出した。本研究では臨界期開始後の生後3週齢(P12-20) におけるL2/3層の水平結合とL4-L2/3との相互関係に着目する。 実験の結果、1)L2/3では隣接カラム間でLTP型STDPがP12頃から記録されることがわかった。2)4層-隣接2/3層間では、LTP/LTD型のHebbian STDPが始まるが、LTD-STDPの誘導はL2/3-L2/3間のLTPを誘導することがわかった。3)L4-L2/3間の同一カラム内のLTPの誘導はL2/3-隣接L2/3間のLTPを誘導することがわかった。 これらの結果から、ヒゲ入力により、各カラム内では垂直方向の入力がL2/3-L2/3のカラム間の入力をシナプス結合を促進し、同様に、L4から隣接2/3層へのタイミングのずれた入力も2/3層間の入力を促進していることが推察された。すなわち、L4-L2/3のSTDPと視床-L2/3のSTDPの相互作用と同様に、ヒゲ入力は、STDPの相互作用によって、入力依存性可塑性を担う回路が自働的に形成されていくことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験結果は得られた。
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今後の研究の推進方策 |
L2/3-L2/3の水平方向のSTDPの開始時点の検討はもう少し詳細に調べる必要がある。また、この薬理実験も必要と思われる。
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