研究実績の概要 |
体性感覚野バレル皮質は生後発達の一時期に入力依存性の可塑性を示す臨界期が存在することが知られているが、そのメカニズムについては、未だ不明な点が多い。バレル皮質の臨界期については、1)受容野可塑性には4層-2/3層間のシナプス伝達の変化が重要であること、2)生後12-14日(P12-14)に臨界期が始まること、、などが明らかにされてきた。 我々は4層-2/3層間シナプスにおけるスパイクタイミング依存性可塑性(STDP)の変化が、生後12-14日(P12-14)に起こることと、臨界期開始が密接に関与していることを示した。同時に臨界期前には2/3層細胞へは4層からと視床からの2つの異なるSTDPが収束していいることを見出した。また、これらの異なるSTDPが協調して回路の再編を行うことを示した。本研究では臨界期開始後の生後3週齢における2/3層の水平結合と、L4-L2/3との相互関係に着目した。その結果、視床-2/3層間と4層-2/3層間と同様に、収束する、異なった性質を持つSTDPが互いに相手のSTDPをドライブすることによって、回路再編を導くというメカニズムがL4-L2/3の隣カラム同士でも起こることが示され、新たな回路形成のメカニズムを示すことができたと考えられる。 このメカニズムにはカンナビノイドがLTD,軸索退縮において重要な役割を果たすが、この受容体に働くリガンドの候補としては2アシルグリセロール(2AG)とアナンダマイドが想定されているが、そのいずれであるかは未だに未解決の問題である。今後、この両者のいずれかを同定する目的で、2AGの合成酵素であるジアシルグリセロールリパーゼ(DAGα)の欠損動物を用いた実験が重要と考えられ、現在その実験に取組中である。
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