研究領域 | メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤 |
研究課題/領域番号 |
25115730
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
大塚 岳 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教 (10390692)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大脳皮質 / 錐体細胞 / FS細胞 |
研究概要 |
本研究は、脳の高次機能を担う大脳皮質の多様な投射先に対応した情報処理様式を理解することを目標としている。本研究では、投射先に対応した5層錐体細胞サブネットワークと電気的に結合したFS細胞ネットワークがどのように相互に活動を制御しているのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は、子宮内電気穿孔法を用いてラット前頭皮質の2/3層錐体細胞にチャネルロドプシンを発現させ、光刺激によって誘発される活動について5層の細胞においてスライス標本を用いて検討した。その結果、5層錐体細胞やFS細胞において20-30Hzの周波数を持つ膜電位のオシレーション活動がみられた。錐体細胞 / FS細胞から同時記録を行い、オシレーション活動について細胞間の同期性を検討した。相互相関解析を行った結果、膜電位の振動は錐体細胞間では周期的に同期していた。一方、錐体細胞 / FS細胞間においても周期性がみられたが、細胞間で時差がみられた。FS細胞間の電気結合は、細胞間の同期的な発火を増強することが知られている。そこで、FS細胞ネットワークにおける電気結合のオシレーション活動への寄与を検討した結果、ギャップジャンクションの阻害剤によって膜電位の振動が錐体細胞やFS細胞において阻害された。これらの結果は、錐体細胞とFS細胞間の結合回路がオシレーション活動の形成に重要であることを示唆すると考えられる。さらに、対側大脳皮質に投射する細胞(COM)と同側橋核に投射する細胞(CPn)を逆行性蛍光トレーサーを用いて同定し、錐体細胞サブタイプ間で膜電位の振動活動を比較した。2/3層への光刺激によって誘発される膜電位の振動は、CPn細胞で多く観察されたことから、錐体細胞サブネットワーク間で異なる情報処理をしていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、2/3層錐体細胞群を光刺激を用いて刺激することによって誘発される5層の興奮性・抑制性細胞の活動を解析する計画を立て実験を行った。その結果、5層細胞において膜電位の振動活動が観測され、この振動活動を中心に解析した。当初の計画に従っておおむね研究は進んでおり、結果は得られている。従って、今後の研究のさらなる発展が期待できるので。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、5層の特定の錐体細胞サブタイプにチャネルロドプシンを発現させ、5層内でのサブネットワーク間の神経活動の動態・変移を検討する。また、実験で得られたデータを基に回路モデルを構築し実験結果の検証を行う。さらに、細胞間のシナプス結合パタンを変更した場合などによって、どのように活動が変化するのかについて回路モデルを用いて詳細に検討する。
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