公募研究
本研究では、脊髄神経回路の重要な研究素材となっているゼブラフィッシュを用い、外転筋と内転筋の左右交互のシンプルな運動からなる、遊泳中の胸びれリズム運動の神経回路の完全解明を目指す。そして、その神経回路の構成因子を、進化的に保存された脊椎動物脊髄神経発生の基本スキームの中に位置づける。胸びれは哺乳動物前肢の相同器官であり、シンプルな胸びれの運動は、陸上脊椎動物四肢の運動のプロトタイプと考えることができる。すなわち、本研究は、脊椎動物四肢のリズム運動を司る神経回路の基本的成立過程を明らかにする研究である。3日目のゼブラフィッシュ幼魚を用い、仮想遊泳運動中の外転筋運動神経の活動と内転筋運動神経の活動を、体幹運動神経の活動と同時にモニターした。その結果、仮想遊泳中には、(i) 外転筋運動ニューロン、(ii) 体幹運動ニューロン、(iii) 内転筋運動ニューロンの順に、リズミックに活動することが分かった。この胸びれ運動ニューロンの神経活動がどのようなシナプス入力を受けて作り上げられるかを調べるため、外転筋運動ニューロン、内転筋運動ニューロンの全細胞記録を行った。その結果、双方とも、それらの細胞が発火するフェーズにリズミックな興奮性入力を受けていることが明らかとなった。すなわち、リズミックに興奮性入力を受けることが、胸びれ運動ニューロンのリズミックな神経活動の主たる原因と考えられる。
2: おおむね順調に進展している
大きなトラブルはなく、研究はおおむね順調に伸展している。
今後、運動ニューロンの活動を直接制御する介在ニューロンの活動様式と、運動ニューロンとの結合様式を詳細に調べていく。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Scientific Reports
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