公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
海馬は記憶の形成や想起に関わる脳部位であり、海馬錐体細胞においてグルタミン酸作動性の興奮性シナプスの入力部位である個々の樹状突起棘(スパイン)が記憶に重要であると考えられている。統合失調症等の一部の精神疾患では進行性の記憶障害が生じるが、そのマイクロ病態として海馬でのスパインの萎縮やスパイン数の減少等が明らかにされてきた。しかしこれらのマイクロ病態がどのように進行しているのかは未だに解明されていない。本研究では、マウス海馬スライスの錐体細胞を標本として用い、統合失調症様精神症状を誘発させる薬物の投与や遺伝子の操作によって個々のスパインの形態・機能やシナプス近傍の神経内外環境がどのように変化するのかを明らかにし、記憶障害の発現・進行に関わるマイクロ病態を解明することを目的としている。25年度はまずシナプスの形態とCa2+活動の経時変化をイメージングで測定することを可能にする蛍光プローブの作製を行った。さらにシナプス病態の経時的な進行を明らかにするため、長時間培養下での蛍光イメージングを行うための実験条件を検討した。一方研究代表者らが以前に開発した高感度なシナプスCa2+プローブであるG-CaMP6-actinをマウス海馬スライスのCA3神経細胞に発現させて蛍光Ca2+イメージングを行った結果、発火閾値下での膜電位変化量と樹状突起スパインにおけるCa2+蛍光変化量に相関があることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
シナプスの形態とCa2+活動の解析用プローブの作製や長時間培養イメージングの条件検討が順調に進んでいるため。
最終年度は、これまでの研究成果に基づき、統合失調症様精神症状を誘発させる薬物の投与や遺伝子の操作によりシナプス病態がどのように進行するのかを解析する。
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