研究領域 | マイクロエンドフェノタイプによる精神病態学の創出 |
研究課題/領域番号 |
25116516
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
櫻井 武 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90615717)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会性行動 / 精神疾患 / マウスモデル |
研究概要 |
社会性行動の異常は様々な精神疾患に見られる表現型であるが、その病態はよくわかっていない。本研究では我々の開発したヒトで見られる遺伝子変化と社会性行動の変化を反映すると考えられるマウスモデルを利用して、社会性行動の異常のマイクロエンドフェノタイプを同定し、その病態の理解に迫ることを目標とする。 当該年度では新たに作製されたGtf2iトランスジェニックマウス(Gtf2i遺伝子3コピー)を野生型(遺伝子2コピー)及びヘテロザイゴスマウス(遺伝子1コピー)と共に社会性行動を中心に行動解析を行い、トランスジェニックマウスではヒトで見られるのと同様に社会性行動の低下(自閉症様の症状)が見られることを確認した。また、ヘテロザイゴスマウスではやはりヒトで見られるのと同様な過剰な社会性行動(ウィリアムス症候群様の症状)が見られることを再確認した。 当該研究領域の班会議における研究者交流及びディスカッションに基づき、社会性行動の様々なステップにおいて活性化される脳領域の同定のため、社会性行動に伴ったc-fos陽性細胞の解析手法の条件検討を行い、その結果から、前頭前野、扁桃体、線条体、海馬を今後の解析の標的とすることを決定した。これらの脳領域での遺伝子発現の変化を解析するため、社会性行動の解析を行った後のマウスを用いて上記の脳領域からRNAを調整した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子発現のパターンをマイクロアレイ解析する予定であったが、近年の技術革新と設備の整備に伴い、組織における遺伝子発現の差をより明確にまた再現性よく感知出来るリボゾーム結合RNA画分のRNAseqを行うことに計画を変更した。これにより遺伝子発現の変化の解析まではできてはいないが、そのあとのqPCRを用いた再確認の段階での擬陽性の確率を減らすと考えられ、結果としてそのあとの解析の遅延にはつながらないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に確認した社会性行動の異常を異なるマウスコホートを用いて追試する。また、発達段階の行動解析と組み合わせ、社会性行動の行動要素の発達過程のどこに異常があるかを検討する。 これら社会性行動の異常が見られるマウスの社会性行動に関与する脳領域の遺伝子発現のパターンを包括的にリボゾーム結合RNA画分を用いてRNAseqで検討する。得られた遺伝子変化をqPCRにて確認し、行動要素の発達過程の異常への遺伝子変化の関与を推察、これらの遺伝子変化の社会性行動の異常のマイクロエンドフェノタイプとしての妥当性を検討する。 当該研究領域の班会議等で他研究者との研究交流、ディスカッションを行い、遺伝子変化の行動への関与を解析する手法ならびに他のマイクロエンドフェノタイプの解析手法について検討し、可能性の高いものにつきセットアップを行う。
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