公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
(1)精神ストレスを受けたマウス(うつ病モデルマウス)の脳組織、及びうつ病患者死後脳で産生が増えているストレスタンパク質の同定:DNAチップ、プロテインチップなどを用いて、精神ストレス(反復社会挫折ストレスストレス(凶暴なマウスとの同居)、拘束ストレス、インターフェロンα投与など)を受けたマウス(うつ病モデルマウス)において、脳組織で増えているストレスタンパク質を網羅的に同定した。同定されたストレスタンパク質の中から、うつ病の発症・重症化抑制に寄与している可能性の高いストレスタンパク質を選択した(過去の文献やホモロジー検索から予想されるタンパク質の機能などを参考にした)。(2)ストレスタンパク質過剰発現マウスの導入:我々が現段階で注目しているストレスタンパク質は、HSP(HSPにはたくさんの種類があり、本研究ではHSP90、HSP25、HSP47、HSP60に注目する)、小胞体ストレスタンパク質(小胞体がストレスを受けたときに発現が誘導されるタンパク質:GRP78、ORP150、CHOP)、HO-1(活性酸素に対して細胞を強くするストレスタンパク質)、GSTとCatalase(SOD同様、活性酸素を消去する酵素)である。そこでこれらのストレスタンパク質の過剰発現マウスが必要であり、その導入を完了した。(3)うつ病に対して抑制的に働いているストレスタンパク質の同定:(1)の研究で選択されたストレスタンパク質に関して、その発現上昇がうつ病の発症・重症化の抑制に寄与しているかを以下の方法で調べた。ストレスタンパク質の過剰発現マウスに精神ストレス(反復社会挫折ストレスストレス、拘束ストレス、インターフェロンα投与など)を与え、うつ病様症状(行動変化と分子動態変化)を野生型マウスと比べ、症状の改善が見られるかを調べた。行動変化は、強制水泳試験、社会行動学的解析、ショ糖嗜好性試験、明暗選択テストなどにより評価した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに進み、既に新しいストレスタンパク質の同定に成功しているため
予定どおり、本年度の研究計画を実施する。具体的には、選択した既承認薬に関して同定した疾患のモデルマウスでの治療効果を検討し、同時に神経変性疾患など、既にオートファジーの効果が示唆されている疾患のモデルマウスでも検討する。有用な薬理効果が見られた場合には、疾患治療薬として有望なオートファジー活性化作用を持つ既承認薬を決定する。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Nature Communications
巻: 4 ページ: 2686-2686
PLoS One
巻: 8 ページ: e76306
Tetrahedron
巻: 69 ページ: 6527-6532