公募研究
マウスに精神ストレス(社会的敗北ストレス、拘束ストレスなど)を与えると、脳でのHSP70 やSODの量が増加することを見いだした。さらに、HSP70やSODを過剰発現している遺伝子改変マウスや、HSP誘導薬やPC-SODを投与した野生型のマウスでは、これら精神ストレスによるうつ病様症状(社会的交流をしない、快楽を求めないなどの行動異常)が改善されることを見いだした。また、精神ストレス依存に抑制された神経新生や神経ネットワーク形成(両者ともうつ病において重要な働きをしている)が、HSP70 やSODの増加(遺伝子改変、及び薬剤による)により回復することを見出した。さらに我々は、HSP70 やSODの増加は精神ストレスによるストレスホルモンの増加には影響を与えないが、ストレスホルモンを投与しうつ病様症状や神経新生や神経ネットワーク形成の抑制を起こすモデルでも、これらの反応を抑制することを見出した。これらの研究成果から私は、精神ストレス依存に脳で増えるストレスタンパク質は、うつ病の発症・重症化を抑制している、即ちそのようなストレスタンパク質を増やす薬はうつ病の治療薬になると考えた。そこで今後は、HSP70やSODがストレスホルモン依存のうつ病関連反応を抑制する分子メカニズムを解明すると共に、精神ストレスを与えたマウスの脳(うつ病モデルマウスの脳)、及びうつ病患者の死後脳での遺伝子発現解析結果を利用して、そこで産生が増えているストレスタンパク質(HSP70やSOD以外)を同定する。そして、同定されたものの中から、うつ病の発症・重症化を抑制する(うつ病治療薬のターゲットとなる)ストレスタンパク質を同定すると共に、その抑制の詳細な分子機構を明らかにする。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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