本研究では、平成23-24年度新学術領域研究 公募研究のテーマであったマニピュレーターシステムと質量分析計を組み合わせた“単一細胞ダイレクトMS法”をより発展させ、微細組織領域や特定の細胞種群の脂質メディエーターを簡便な手法で解析できる高感度分析法の確立を目指す。そして、種々の組織や細胞において脂質メディエーター産生量がどのように変化し、そこにどのような脂質代謝酵素が関与するのかを明らかにする。当初の研究計画にのっとり、実験を進め、以下の成果が上がった。 1.再現性に優れた脂質メディエーター解析のための迅速・簡便前処理法の改良 非特異的な分解や器具への吸着対策として吸着保護材(天然に存在しない同系統の脂質分子)を用いることで回収率の向上を図った。さらに固層抽出法により最小限のロスで短時間かつ簡便な調整法を確立した。 2.超高感度LC-MS法を用いた脂質メディエーター分析系の確立 流速、カラム、注入量などのLCシステムの最適化ならびに、夾雑物を取り除く(上述)ことで、1細胞レベルから脂質メディエーターならびにその前駆体のグリセロリン脂質を安定的に分析できる新技術を確立した。
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