本研究では、平成23-24年度新学術領域研究 公募研究のテーマであったマニピュレーターシステムと質量分析計を組み合わせた“単一細胞ダイレクトMS法”をより発展させ、微細組織領域や特定の細胞種群の脂質メディエーターを簡便な手法で解析できる高感度分析法の確立を目指す。そして、種々の組織や細胞において脂質メディエーター産生量がどのように変化し、そこにどのような脂質代謝酵素が関与するのかを明らかにすることを目的としている。 本年度は昨年度までに構築した高感度分析法を用いて脂質メディエーター産生酵素である分泌型ホスホリパーゼA2(sPLA2)欠損マウスにおける網膜細胞の脂質分析を行った。網膜を4層に大別し脂質プロファイルの変動を詳細に解析した結果、sPLA2のタイプ別で変動する脂質分子ならびに網膜層が異なることを見出した。また、一部のsPLA2欠損マウスにおいては視覚機能の低下が観察された。今後、視覚機能と脂質プロファイルとの関連について解析を進める。
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