公募研究
本研究で使用しているマウスと同じC57BL/6N遺伝背景を持つコンジェニックマウスであるLy5.1マウスより骨髄を採取した。これを野生型またはLPA4欠損レシピエントマウスに移植し、キメラマウスを作製した。これらキメラマウスに5-FUの投与を行い一時的な骨髄抑制ストレスを誘導したところ、野生型レシピエントマウスと比較してLPA4欠損レシピエントマウスは致死率が有意に高かった。一方、野生型またはLPA4欠損マウス由来の骨髄をLy5.1マウスに移植したキメラマウスでは、5-FUへの感受性に違いは認められなかった。以上の結果は骨髄造血細胞ではなく間質細胞が5-FUへの感受性を制御することを示唆しており、骨髄におけるLPA4の発現が血球系細胞よりもCD45-Ter119-CD31-間質細胞、特にPDGFRα+間葉系幹細胞で格段に高いことと矛盾しなかった。以上の結果から、間質細胞に発現するLPA4が造血幹細胞ニッチの機能をもたらす可能性が考えられた。骨髄抑制ストレス後の回復期において骨髄間質細胞が産生するSCF等のサイトカインは造血回復のための重要な因子である。5-FUを投与したマウス骨髄の細胞外液(組織間液)に含まれるSCF濃度は野生型マウスに比べLPA4欠損マウスで有意に低かった。また、培養したマウス骨髄由来の間質細胞でも、SCF mRNAの発現レベルが野生型マウスに比べLPA4欠損マウスで有意に低かった。以上の結果は、PDGFRα+間葉系幹細胞においてLPA4はSCFの産生を制御することによって、造血に寄与する可能性が考えられた。LPA4はGα12/13やGαqと共役することが知られているが、SCFの発現を調節する細胞内シグナルの解明は今後の課題と考える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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