公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
研究実施計画の項目の内,興味ある結果が得られた主な項目について報告する.I. 「ホスファチジルイノシトール代謝回転とは独立した新規ジアシルグリセロール(DG)代謝経路群」の探索・同定:I-2.DGキナーゼ(DGK)δ:(2)パルミチン酸(16:0)を含有する30:0-,32:0-,34:0-ホスファチジン酸(PA,DGKの反応産物)の産生はsiRNAを用いたDGKδの発現低下によって抑制された.逆にDGKδの過剰発現はグルコース(Glc)刺激によるこれらPA分子種の産生を亢進した.これらの結果から,DGKδはグルコースに応答してパルミチン酸を含有するDG分子種に選択性を示すことが強く示唆された.さらに,ホスファチジルコリン(PC)特異的ホスホリパーゼ(PL)Cの阻害剤D609により,Glc刺激による30:0-,32:0-,34:0-DGと30:0-,32:0-,34:0-PAの産生が抑制された.従って, DGKδがGlc 刺激に依存して基質とするDG分子種の少なくとも一部はPC-PLCを介したPCの加水分解により供給されると考えられた.I-4. 本新規経路のLPA供給経路としての可能性:DGKδの発現を低下させるとパルミチン酸含有リゾホスファチジン酸(16:0-LPA)量が減少していた.従って,本新規経路は脂質メディエーター16:0-LPAの供給経路としての可能性が示唆された.II.本新規経路群の生理機能や病態形成における役割:II-1.DGKη:DGKη-KOマウスは野生型と比べ「歩行→毛繕い→ジャンプ等」の行動切り替えの頻度が1.4倍になり,更に,高架式十字迷路試験でオープンアーム滞在時間が十倍以上増大することが観察された.これらの結果は全ゲノム関連解析によるDGKηと双極性障害の関連の可能性の示唆と矛盾しない.
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画の14項目の内,7項目(50%)で顕著な進捗があった.まだ,進捗が見られない項目についても,それらの困難性は概ね解決しつつある.
まだ,顕著に進捗していない項目を中心に推進して行く.また,進捗のあった項目についても更に前に進める.
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Biochem. Biophys. Res. Commun.
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10.1016/j.bbrc.2014.03.113
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医学のあゆみ
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