研究領域 | 生命応答を制御する脂質マシナリー |
研究課題/領域番号 |
25116713
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
久本 直毅 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80283456)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アナンダミド / C.エレガンス / 神経軸索再生 |
研究概要 |
今年度はアナンダミド合成酵素であるNAPE-PLDの線虫ホモログnape-1遺伝子の人工発現体を用いた解析と、アナンダミド受容体の更なる探索を行った。これまでに、nape-1の欠損変異がfaah-1欠損変異体で見られる神経軸索再生開始率の低下を抑圧することを見つけていた。そこで、逆の実験としてnape-1遺伝子を切断神経であるD神経で多量発現してみたところ、faah-1変異体と同様に神経軸索の再生開始率の低下が引き起こされた。さらに別の実験として、背腹方向に伸びているD神経と直交するPLM神経で異所的にnape-1を発現させた線虫を作製した。この線虫は発生過程におけるD神経のガイダンス異常は全く示さない。しかしPLM神経との直交点より少し手前でD 神経を切断してみたところ、切断されたD神経は始めは背腹方向に伸びてゆくものの、PLM神経軸索の直前で進路を90°変えて前後方向に伸びる表現型を示した。これらのことから、アナンダミドは神経軸索の再生開始を抑制するだけでなく、再生中の軸索に対する特異的なrepulsive cueとしても働くことが示唆された。一方、アナンダミド受容体の同定および解析については、欠損変異によりfaah-1の表現型を抑圧する7回膜貫通型受容体のスクリーニングにより、現在までに3つの7回膜貫通型受容体を候補として同定した。同定された3つの受容体はいずれも7回膜貫通型ではあるが、それぞれ異なるサブタイプの受容体をコードしていた。機能的スクリーニングにより受容体の候補が3つも同定されたことから、これら3つの7回膜貫通型受容体は、それぞれアナンダミドシグナル経路上の異なる段階で機能している可能性が推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、アナンダミドが軸索の再生開始を抑制するだけでなく、再生中の軸索特異的なrepulsive cueとして働くことを新たに見出した。また機能的スクリーニンングによりアナンダミド受容体の候補を3つも同定した。
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今後の研究の推進方策 |
アナンダミドによる軸索再生の制御機構が、どのような状況で生じているのか検討する。また3つのアナンダミド受容体候補についてその詳細な機能解析を行い、その役割を明らかにする。
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