研究概要 |
1.Zellweger患者由来線維芽細胞pex2およびpex3 CHO mutantsにおいてプラスマローゲンPEやDHA含有リン脂質が著しく減少することを見出すとともに、高度不飽和極長鎖脂肪酸を有するホスファチジルコリンが蓄積することを見出した (Abe, Y., Honsho, M., Nakanishi,H., Taguchi, R., and *Fujiki, Y., Biochim. Biophys. Acta-Mol. Cell Biol. Lipids.1841: 610-619,2014)。 2.ペルオキシソーム形成不全ノックアウトマウスの脳におけるリン脂質の詳細な解析を行ない、プラスマローゲンPEの著減とDHA含有リン脂質の減少、高度不飽和極長鎖脂肪酸を有するホスファチジルコリンの蓄積など、ペルオキシソーム形成不全患者由来線維芽細胞と同様のリン脂質分子種の異常を見出した。本結果は、脂質メディエーターの供給源であるDHA含有リン脂質の生合成にペルオキシソームの代謝機能が重要であることを示す成果である。 3.プラスマローゲンの生合成律速酵素であるFatty acyl-CoA reductase 1 (Far1)がPex19p依存的にペルオキシソームに輸送され、機能ドメインを細胞質側に配向したC末アンカータンパク質としてペルオキシソームに局在することを示した (Honsho, M., Asaoku,S., Fukumoto,K.,and *Fujiki,Y., J.Biol.Chem. 288: 34588-34598,2013)。また、Far1のアイソフォームであるFar2がヒト乳腺癌由来培養細胞MCF7に発現していること、ついでMCF7細胞はプラスマローゲン合成不全であることも見出した(Honsho et al.,J.Biol.Chem., 2013)。この特徴を活用し細胞内プラスマローゲン量依存的にFar1のみが分解されることも示した。これらの成果は、脂質メディエーターの供給源と目されるプラスマローゲンのホメオスタシス解明に貢献するものである。
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