研究領域 | 生命応答を制御する脂質マシナリー |
研究課題/領域番号 |
25116722
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
久野 悠 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 特別研究員 (60467636)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 脂質メディエーター / スフィンゴシン1リン酸 / 輸送体 / ゲノム編集 / TALEN / CRISPR/Cas9 system / ゼブラフィッシュ |
研究概要 |
生理活性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)は輸送体によって細胞外へ供給され、標的受容体に認識されることで様々な生理作用を制御している。これまでに5つのS1P受容体が同定されているが、各S1P受容体の生理機能の特異性や機能的相互作用の全貌解明には至っていない。一方でS1P輸送体は申請者らによってSPNS2が同定されたのみで、その他のS1P輸送体については同定されていない。そこで本研究では新規S1P分泌輸送体の同定及びS1Pの生理機能を解明するため、人工ヌクレアーゼであるTALENやCRISPR/Cas9 systemを用いて遺伝子改変ゼブラフィッシュを作成し、その表現型の解析を行う。 TALENやCRISPR/Cas9 systemはゲノムの標的部位にDNA二本鎖切断を引き起こし、細胞の持つ修復機構(非相同末端結合)を利用する事により、切断部位に数塩基の挿入・欠損が生じ、フレームシフトにより標的遺伝子の破壊が引き起こされる。これらの人工ヌクレアーゼを用いて遺伝子破壊ゼブラフィッシュを作製するためにはまずin vivoでの人工ヌクレアーゼの活性を評価する必要があり、さらに生殖細胞において変異を有する個体やF1世代においてその変異を引き継いだ個体を選択しなければならない。我々はこれらを評価する方法としてHeterduplex Mobility Assay (HMA)が利用できることを見出した。これはポリアクリルアミドゲル電気泳動においてホモ二量体は分子量依存的に泳動度が変化するのに対して、一部分がミスマッチしたヘテロ二量体では泳動度が遅くなる現象を利用している。HMAを利用する事により、遺伝子破壊ゼブラフィッシュの確立を容易にし、既に全てのS1P受容体及びS1P合成酵素について遺伝子破壊ゼブラフィッシュの作製が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな人工ヌクレアーゼの活性評価系を開発し、順調に遺伝子破壊ゼブラフィッシュの作製を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでに作製が完了したS1P受容体やS1P合成酵素の遺伝子破壊ゼブラフィッシュの表現型の解析を進める。さらに新規S1P輸送体の候補遺伝子についても破壊ゼブラフィッシュを作製し、生理的役割を明らかとする。
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