本課題はcytomotive filamentとよばれる重合性の蛋白質(重合分子モーター)TubZが生み出す動力によって制御されるセレウス菌低コピー数pXO1様プラスミドの分配機構を分子レベルで明らかにすることを目的とする。TubZは毒素プラスミドをもつバチルス属亜種に保存された真核生物チューブリンの相同蛋白質であり、毒素プラスミドの分配に必須であることが明らかになっている。私達はこれまでTubZの結晶構造の決定および試験管内における重合反応系の確立を完了するとともに、tubZとレギュロンを組むtubRとtubYの遺伝子産物である2つのDNA結合蛋白質がtubRZオペロンの転写制御に関わることを明らかにした。またTubRの結晶構造とDNAの認識配列、オペロンにおける結合領域を決定した。 平成26年度は、TubRとその結合領域の複合体を作成し、結晶化スクリーニングのための解析を行った。質量分析法でゲルシフト解析により得られた結果と同じ量比で複合体が形成されていることを確認した。またTubYはDNA結合領域と多量体化ドメインの2つの領域から成る蛋白質であるが、それぞれの領域について結晶化に成功、x線回折まで確認した。TubZの活性化にはTubR、TubY、DNA結合領域が必要であることを試験管内で明らかにし、再構成系を確立した。さらにセレウス菌の形質転換実験を行い、形質転換の系を確立した。今後はtubYRZレギュロンの遺伝子を細胞内に導入することで細胞内局在を調べる。
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