分裂酵母細胞ゴーストを用いた収縮環の微細構造の解析。ゴーストをガラス面に貼付けてからunroofingし、内部の収縮環を露出させた。これをgelsolin処理してアクチンフィラメントを除去した。この操作により、アクチンフィラメントにうずもれていたミオシンを観察することができた。ミオシンはフィラメント状になっており、フィラメント同士がくっつき合っていた。これらがミオシンであることを確認するため、分裂酵母からミオシンを精製してフィラメント形成を試みた。収量が低いため不確かな部分もあるが、ミオシンフィラメントと思われる構造を確認した。これらは収縮環中のミオシンフィラメント様の構造に類似していた。さらに収縮環におけるミオシンの配置を確認するために、軽鎖Mlc1とC末端にタグをつけたミオシンを細胞内で発現させ、細胞ゴーストを作製し、蛍光抗体法でミオシンを可視化した。非常に興味深い染色パターンが得られたが、フィラメントの配置の説明がつかないので、タグの場所を変えたミオシンの発現コンストラクトを作製しているところである。 カエル未受精卵抽出液を用いた収縮環形成過程の研究。アフリカツメガエル未受精卵から抽出液を調製し、油中に懸濁して人工脂質膜小胞を作った。小胞内のアクチンは蛍光アクチンの添加により可視化した。アクチンが脂質膜付近で重合してフィラメントとなり、同じく小胞中に形成されるX-bodyに向かって流れることを見いだした。流れたアクチンはX-body近辺で脱重合した。この流れにはミオシンATPase活性も関与していた。
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