公募研究
Nrf2 は、生体防御反応の中核を担う転写因子である。がん細胞では、Nrf2 の恒常的な活性化が認められ、Nrf2 は、がん細胞の生存を有利にしている。しかし、Nrf2 を恒常的に活性化しただけでは、がん化しない。そこで、既存の増殖シグナルであるPI3K-Akt 経路に着目した。本経路はがん抑制遺伝子であるPten 欠失により活性化する。おおよそ半数の肝臓がんでは、Pten が欠失あるいは減少している。肝臓特異的Pten 欠失(Pten-Alb)マウスは、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎を経て、肝臓がんを発症するため、脂肪肝-肝臓がんモデルマウスとして利用できる。脂肪肝は現代社会における食生活の変化などによって増加傾向にあり、 脂肪肝からの肝臓がん発症のメカニズムやその病態の解明は重要な課題である。また、これまでの解析から、Nrf2 は肝臓特異的Pten 欠失マウスで起こる肝臓がんの発症・進展に重要な役割を果たすことを見出している。しかし、Pten 欠失時のNrf2 の活性化メカニズムは明らかとなっていない。そこで、Pten 欠失時におこるPI3K-Akt 経路に着目し、Nrf2 のリン酸化が関与しているのではないかと疑った。そこで、これまで明らかとなったNrf2 活性化の分子メカニズムを基に、肝臓における病態との関連を含めて解析した。PtenとNrf2の二重欠失(Pten-Alb:Nrf2)マウスはPten-Albマウスでみられる脂肪肝炎の発症は抑制しなかったが、肝臓がんの発症が著しく抑制された。よって、Nrf2は脂肪肝炎から肝臓がんの移行を促進していることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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