公募研究
ホスファチジルイノシトール-3,4,5-三リン酸(PIP3)は、細胞内シグナル脂質として重要な役割を果たす膜リン脂質である。PIP3脱リン酸化酵素であるPTENやSHIP1は、炎症や癌等の発症に深く関与しており、これらの分子の翻訳後調節機構の解明は、種々の病因理解に繋がることが期待される。昨年度までに、炎症性刺激に伴いPIP3分子種が変化すること、また同刺激により、SHIP1やPTENが翻訳後修飾を受けることを見出した。本年度はこれらの修飾様式について解析を進めるとともに、酵素活性との関連について解析した。無刺激または炎症刺激を施した細胞からPTENを免疫沈降し、ウエスタンブロットにてリン酸化、ユビキチン化、アセチル化を検出した。その結果、PTENの安定性に関与することが報告されているS380/T382/T383のリン酸化やアセチル化に変化は認められなかったが、ユビキチン化とチロシンリン酸化が亢進し、核内に蓄積することを見出した。一方SHIP1はユビキチン化、アセチル化に変化は認められなかったが、複数のチロシン残基がリン酸化されることを見出した。酵素活性に与えるこれらの修飾の意義を明らかにするために、質量分析計を用いた新たな活性測定方法を構築し、免疫沈降物を用いて脱リン酸化活性測定を行った。その結果、炎症性刺激に伴い修飾を受けたPTENは無刺激下のPTENよりも高い脱リン酸化活性を示したが、SHIP1については刺激前後で活性の変化は認められなかった。以上の結果より、炎症性刺激により修飾を受けたPTENの局在変化と活性変化がPIP3分子種の変動を導いた可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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none
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