公募研究
骨格筋筋原線維のアクチン線維形成は,IGF-1シグナリングにより,nebulin (Neb)のC末端のSH3ドメインにN-WASPが結合し,両者の間でアクチン重合核が形成され,さらにNebに沿ってZ帯からアクチンが重合することにより起こることをこれまでに明らかにした.NEB遺伝子の突然変異は先天性筋疾患ネマリンミオパチーの原因となる.一方,心筋においては,Nebの代わりに存在するnebulette (Nebl)のSH3ドメインにN-WASPが結合して,N-WASPはZ帯に局在化し,アクチン線維形成に働いていた.NEBL遺伝子の突然変異は拡張型心筋症の原因となる.そこで骨格筋と心筋におけるN-WASPを介したアクチン線維形成の破綻が,これらの筋疾患や心筋症につながることを実証するために,骨格筋や心筋特異的な誘導性N-WASPコンディショナルノックアウト(cKO)マウスの作製を行った.N-WASPゲノムDNAをloxP配列で挟んだターゲティングベクターを用いてキメラマウスを作製し,さらにfloxedヘテロ接合マウスを得た.これらのfloxedヘテロ接合マウスと心筋特異的Myh6プロモーターにつないだCre-ERT2 Tgマウスを交配させて,誘導的に心筋でN-WASPの発現を欠損するマウスを作製した.これらのマウスに4-hydroxytamoxifenを投与すると,心筋でのみN-WASPの発現が消失した.これにより,作製したマウスは誘導性の心筋特異的N-WASP cKOマウスであることが確認できた.成体マウスにおいて持続的にN-WASPの発現を消失させて,拡張型心筋症の表現型が現れるかどうかを解析している.一方,floxedヘテロ接合マウスと骨格筋特異的Acta1プロモーターにつないだCre-ERT2 Tgマウスを交配させて,誘導性の骨格筋特異的N-WASP cKOマウスの作製を進めている.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bone
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.bone.2015.02.028
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 111 ページ: E2291-E2300
10.1073/pnas.1321574111
http://life.s.chiba-u.jp/telab/