研究領域 | 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻 |
研究課題/領域番号 |
25117710
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 一夫 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20174782)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 糖鎖修飾 / 翻訳後修飾 / N-アセチルグルコサミン |
研究概要 |
本年度は、N-アセチルガラクトサミン転移酵素をコードするcDNAをさまざま作成し、HEK293細胞内に発現させて、核内タンパク質及び細胞質タンパク質に見出されるN-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)修飾を更に伸長させることを行った。この伸長した糖鎖は細胞内に存在する加水分解酵素によって分解されることがないため、微量なO-GlcNAc修飾タンパク質をより安定に検出ができること、また通常の細胞では合成されることのない稀少な糖鎖であることから、この2糖を特異的に認識するレクチンプローブを探索した。cell surface display法を用いた改変レクチンのスクリーニングも行ったが、ナツフジから厳密な特異性を持つレクチンを運良く見出し、かつこれらのレクチンを大量に精製することができた。N-アセチルガラクトサミン転移酵素を過剰発現させたHEK293細胞のcell lysateを用いて二次元電気泳動を行った後、このレクチンプローブを用いて、糖転移酵素の有無により特異的に染色されるスポットを検索した。その結果、二次元電気泳動上で90種類ほど見出し、これらに相当するスポットをゲルをから切り出し、MALDI-TOF MSを用いた質量分析によりタンパク質の同定を試みた。その結果、これらのスポットの中から6種類の細胞質内のタンパク質と7種類の核内タンパク質を特定することができた。また、これらのタンパク質をコードする遺伝子の単離も合わせて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植物フジの種子からN-アセチルガラクトサミンに厳密な特異的を持つレクチンを運良く発見したことから、レクチンアフィニティクロマトグラフィーを行うためのレクチンを容易に大量精製することができたことは大いに時間の節約になった。また、このレクチンを用いた検出法に関してもさまざまな試行錯誤を行うことができたため、着実な成果を出すことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質上のO-GlcNAc修飾部位を明らかにすることを通して、これらの修飾を受けない変異体を作成し細胞内に発現させることなどを試みる。細胞活性化に伴うO-GlcNAc修飾の有無による細胞応答の変化などを追跡すると共に、他のグループの標的タンパク質に関するO-GlcNAc修飾分析などを通して、積極的に共同研究を進める予定である。また細胞内のO-GlcNAc修飾タンパク質の挙動を追跡するために、これらのGlcNAc修飾タンパク質の追跡を、抗体やレクチンを用いた染色、更には細胞内にレクチンを発現させることにより、動的な細胞内イメージング解析も試みる計画である。
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