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2013 年度 実績報告書

Med26によってリクルートされる新規転写伸長複合体LECの機能解明

公募研究

研究領域高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解
研究課題/領域番号 25118501
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関北海道大学

研究代表者

高橋 秀尚  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30423544)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード転写 / RNAポリメラーゼII / 転写伸長因子 / メディエーター複合体
研究概要

近年、非常に多くのヒト遺伝子で、RNAポリメラーゼII (以下Pol II)が転写開始直後に一時停止していることが明らかになり、遺伝子発現において転写伸長のプロセスが重要な役割を果たしていることがわかってきた。Pol IIの一時停止が解除されPol IIがRNA合成を再開するためには転写伸長因子の働きが必要である。ところが、転写伸長因子が、どのようにして時期特異的に特定の遺伝子領域にリクルートされ、Pol IIの一時停止を解除するのかについては、ほとんどわかっていなかった。われわれはメディエーター複合体のサブユニットMed26が転写伸長因子を含む複合体Super elongation complex(SEC)を、c-MycやHsp70などの遺伝子領域にリクルートすることを明らかにした【Takahashi H, et al. Cell 2011】。最近、われわれはMed26に結合するもう一つの複合体Little elongation complex(LEC)を同定した。SECとLECは共に転写伸長因子ELL/EAFを共通のコンポ―ネントとして有し、Med26はEAFに直接結合することで、これらの複合体を遺伝子領域にリクルートする。解析を行ったところ、Med26はLECをsmall nuclear RNAやsmall nucleolar RNAなどのnon coding RNA遺伝子領域にリクルートすることがわかった。また、興味深いことに、基本転写因子TFIIDのサブユニットTAF7は、EAFと類似のアミノ酸配列領域を有しており、その領域でMed26と直接結合し、LECのnon-coding RNA遺伝子領域へのリクルートを阻害することがわかった。このように、Med26はスイッチ因子としてTAF7との結合をEAFに切り替えることで、LECをnon-coding RNA遺伝子領域にリクルートし、Pol IIによる転写伸長のオン・オフを制御する可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ChIPシークエンス解析によって、Med26がLECを一部のsnRNA遺伝子やsnoRNA遺伝子領域にリクルートする役割を果たすことが明らかになった。また、LECはPol IIの転写伸長活性をin vitroで増強することもわかった。さらに、TFIIDのサブユニットTAF7が、Med26のN末端ドメインに直接結合し、Med26によるLECの標的遺伝子へのリクルートを阻害することも明らかとなった。

今後の研究の推進方策

Med26がどのような遺伝子領域に存在するのかを明らかにするために、Med26のChIP-seq解析を行ったところ、Med26は約10%の遺伝子領域に広汎に存在することがわかった。ところが、それらの遺伝子において、実際にMed26がその発現制御に関わっている遺伝子は、一部であることが判明した。そこで、Med26によって実際に制御される遺伝子を同定するために、RNAシークエンス解析も行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The TRIM-FLMN protein TRIM45 directly interacts with RACK1 and negatively regulates PKC-mediated signaling pathway.2014

    • 著者名/発表者名
      Sato T., Takahashi H., Hatakeyama S., Iguchi A. and Ariga T
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: In press ページ: In press

    • DOI

      In press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Identification of anti-Sez6l2 antibody in a patient with cerebellar ataxia and retinopathy.2014

    • 著者名/発表者名
      Yaguchi H, Yabe I, Takahashi H, Okumura F, Takeuchi A, Horiuchi K, Kano T, Kanda A, Saito W, Matsumoto M, Nakayama KI, Hatakeyama S, Sasaki H
    • 雑誌名

      Journal of Neurology

      巻: 261(1) ページ: 224-226

    • DOI

      10.1007/s00415-013-7134-5

    • 査読あり
  • [学会発表] Med26はLittle elongation complexをリクルートすることでsmall nuclear RNA遺伝子の発現を制御する2013

    • 著者名/発表者名
      高橋秀尚, 瀧川一学, Delnur Anwar, 柴田美音, 佐藤チエリ, 佐藤滋生, Ranjan Amol, Chris W. Seidel, 築山忠維, 渡部昌, 林正康, 大川恭行, Joan W. Conaway, Ronald C. Conaway, 畠山鎮次
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートピアアイランド(神戸市)
    • 年月日
      20131203-20131205
  • [学会発表] Human Mediator subunit Med26 regulates the transcription of small nuclear RNA genes through the recruitment of little elongation complex.2013

    • 著者名/発表者名
      Hidehisa Takahashi, Chieri Tomomori-Sato, Shigeo Sato, Amol Ranjan, Masayasu Hayashi, Yasuyuki Ohkawa, Joan W. Conaway, Ronald C. Conaway, Shigetsugu Hatakeyama
    • 学会等名
      Mechanism of eukaryotic transcription, Cold spring harbor meeting
    • 発表場所
      Cold spring harbor laboratory (USA)
    • 年月日
      20130827-20130830
  • [備考] 新規転写伸長制御因子Med26の機能解析

    • URL

      http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~d20505/takahashi/index.html

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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