公募研究
近年のゲノムワイドなChIP(クロマチン免疫沈降)やRNAシークエンス解析により、非常に多くのヒトの遺伝子(約30%と示唆される)で、転写開始直後にPol IIがプロモーター近傍(転写開始点の20~50塩基下流)で一時停止していることが明らかになり、遺伝子発現の制御で転写伸長のプロセスが重要な役割を果たしていることがわかってきた。このPol IIの一時停止は原がん遺伝子c-Mycを始め、発現の迅速あるいは同調した誘導が必要な熱ショック遺伝子Hsp70、血清応答性遺伝子や発生制御遺伝子など、非常に多くのヒト遺伝子においてみられる。Pol IIの一時停止が解除されPol IIが新生RNAの合成を再開するためにはP-TEFbやELL/EAFなどの転写伸長因子の働きが必要である。ところが、これらの転写伸長因子が、どのようにして特定の遺伝子領域に時期特異的にリクルートされるのかについては、ほとんどわかっていなかった。申請者はメディエーター複合体(Mediator)のサブユニットMed26が、転写伸長因子複合体Super elongation complex(SEC)をc-MycやHsp70などのタンパク質をコードする遺伝子領域にリクルートし、転写伸長を促進することを明らかにした【Takahashi H, et al. Cell 2011】。さらに、本研究によって、私はMed26のNTDに結合するもう一つの転写伸長因子複合体Little elongation complex(LEC)を同定した。興味深いことに、Med26はLECをsmall nuclear RNA(snRNA)などのnon-coding RNA遺伝子領域にリクルートする機能を果たすことを明らかにした【Takahashi H, et al. Nature communications 2015】。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Nature communications
巻: 6:5941 ページ: 1-15
10.1038/ncomms6941
eLife
巻: in press ページ: in press
Molecular and cellular biology
http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~d20505/takahashi/