研究領域 | 高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解 |
研究課題/領域番号 |
25118508
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大野 欽司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80397455)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | FUS / RNA polymerase II / polyadenylation / CLIP-seq / PolyA-seq |
研究実績の概要 |
RNA結合タンパクFUSによるRNA polymerase II (RNAPII) 活性抑制分子機構を明らかにするため、RNA結合部位を網羅的に同定するCLIP-seq、RNAP II集積を解析するRNAPII ChIP-seq、転写開始点変化を明らかにするCAGE-seq、スプライシング変化を明らかにするdirectional mRNA-seq、転写終結点変化を明らかにするpolyA-seq、転写中のRNAを明らかにするnascent-seqの6種のhigh throughput sequencingを行い、その統合解析を行った。それぞれ、CAGE-seq, 9.4万個の転写開始点; RNA-seq, 1.4万個のexon; polyA-seq, 11.9万個の転写終結点を検出し、bioinformatics解析を実施した。 CLIP-seqとChIP-seqの複合解析の結果、FUSはRNA結合に依存してRNAPIIの局所的集積を生じさせることが判明した。RNAPIIの集積は、転写スピードの減速により生じ、様々なRNA processing変化をもたらすことが知られている。Fus knockdown細胞を用いたCAGE-seq, RNA-seq, polyA-seq, CLIP-seq, nascent-seqの統合解析では、FUS-RNA結合がcassette exonおよびalternativeな転写終結点周囲で顕著に認められ、Fus knockdownにより、特に転写終結点の発現抑制が認められた。これらの転写終結点ではFUS-RNA結合がその下流0-300bpの領域に集中していた。MS2 tetheringによる、polyadenylation site下流へのFUS強制結合を行った細胞実験でも、同様の結果が得られ、FUSは転写終結点下流に結合し、alternative polyadenylationを促進する分子であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLIP-seq, CAGE-seq, RNA-seq, polyA-seq, CLIP-seq, nascent-seqの統合解析と、MS tethering実験により、FUSがRNA転写終結に対して結合部位特異的にalternative polyadenylation siteを制御することを明らかにした。さらに、統合解析の至適filterを探り精度を高めることにより、FUSのRNA転写終結制御に対する機能を網羅的に明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
CLIP-seq, CAGE-seq, RNA-seq, polyA-seq, CLIP-seq, nascent-seqの統合解析を精度を高めて行う。現在、ほぼ目的とするデータを得ることができており、今後はfine tuningを行う予定である。
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