研究領域 | 高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解 |
研究課題/領域番号 |
25118510
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 ゆたか 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 転写調節 / ゲノム / DNAループ |
研究概要 |
公開されているゲノム情報を用いて、カタユウレイボヤとヒト、マウス、カエル、フグ、ゼブラフィッシュ、線虫、ショウジョウバエ、ミジンコ、ネマトステラの間で比較をおこない、マイクロシンテニーを探索した。 探索されたマイクロシンテニーの中から41の遺伝子対について、in situハイブリダイゼーションによって発生における遺伝子発現パターンを調べた。遺伝子対の両方が胚性のゲノムから発現しているものは6対だけであった。これら6対の遺伝子はそれぞれ対となる遺伝子とは異なる組織で発現しており、Admp/Pinheadのマイクロシンテニーに見られるようなDNAループによる相互排他的な転写調節機構の存在が疑われる。残りの遺伝子については、一方のみの発現しか観察されなかった。 遺伝子対の両方が胚性のゲノムから発現しているもののうち、1つを例にとって、転写調節のレベルで関連があるかどうかを調べるため、遺伝子対のいずれか一方を強制的に発現させる条件で、他方の遺伝子の発現を観察したところ、一方の遺伝子が転写されるときには他方の転写が抑制される関係が認められた。このことは、相互排他的な転写調節機構の存在を更に強く示唆している。 加えて、ホヤの系統で遺伝子重複によって生じたと考えられるTwist遺伝子についても同様の解析をおこなった。Twist1およびTwist2は同じ組織で発現するものの、Twist1の発現のほうが早く、Twist2はTwist1の調節によって、Twist2の発現は、Twist1の転写が終了すると同時に開始する。この発現パターンをレポーターコンストラクトで再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに研究が進行した。
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今後の研究の推進方策 |
相互排他的な転写調節機構の存在が示唆された遺伝子について、調節機構の解析を進め、DNAループによる調節が働いているのかどうかを調べる。Admp/Pinheadの遺伝子対で発見した機構がこの遺伝子対に特異的なものではないのであれば、それを証明したい。 Twist遺伝子対についても、転写調節に必要なシス領域を同定し、それをもとに相互排他的な発現を支える高次の転写調節機構があるかどうかを検討する。 可能であれば、DNAループのゲノムワイドな解析によって、さらに多くのDNAループによって転写調節を受けている候補遺伝子対を探したい。
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