1. Pax5遺伝子転写調節機構の解明 iChIP-SILAC法を用いて、Pax5遺伝子プロモーター領域にB細胞特異的に結合する蛋白質を同定し、そのうちの一つであるThy28蛋白質がPax5遺伝子の発現に重要な働きをしていることを明らかにした。Thy28結合蛋白質を同定し、Thy28は、そのうちの一つであるmyosin-9 (MYH9) 蛋白質のPax5遺伝子プロモーターへの結合に重要であることを示した。加えて、MYH9もPax5遺伝子の発現に重要であることを明らかにした。こうした成果をPLoS One誌に発表した。また、iChIP-RNA-Seq法を用いて、Pax5遺伝子プロモーター領域にB細胞特異的に結合するRNAを同定した。加えて、iChIP-Seq法を用いて、Pax5遺伝子プロモーター領域にB細胞特異的に結合するゲノム領域を同定した。次に、この領域をCRISPR系を用いて欠損させた細胞株を樹立した。現在、この領域がPax5遺伝子発現制御に果たす役割を解析中である。 2. Foxp3遺伝子転写調節機構の解明 ジーンターゲティング法を用いて、Foxp3遺伝子のTSS近傍にLexA結合配列を挿入したマウスES細胞を作製した。この細胞を用いて、マウス個体を作製し、これと全身の細胞でCreリコンビネースを発現しているマウスとの掛け合わせによって、ES細胞の選択に用いたネオマイシン耐性遺伝子を除去した。このマウス及び対照として野生型C57BL/6マウスから、T-regと対照細胞であるナイーブCD4T細胞を単離した。現在、新たに開発した組換えタグ付きLexA蛋白質を用いたin vitro iChIP法を用いて、Foxp3遺伝子プロモーター領域を単離し、次世代シークエンス法によるT-reg特異的に相互作用しているゲノム領域の同定を進めている。
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