研究概要 |
本年度は、以下の2点に絞り当該研究を遂行し研究の成果を得ました。 (1)Thermococcus kodakarensis (Tko) RNAポリメラーゼ(RNAP)のX線結晶構造解析 Tko RNAPのX線結晶構造を3.5Å分解能で決定することができた。TkoRNAPは9個のサブユニット(A1,A2,B,D,L,P,N,K,H)からなるコア部分と2個のサブユニット(E,F)からなるコアから突出したストーク部分で構成されていた。このようにTkoRNAPは、11個のサブユニット組成という今までに決定されたアーキア由来のRNAPの中で最小であり、酵母由来RNAポリメラーゼII(PolII)の立体構造と非常に類似していることがわかった。両者の立体構造を詳細に比較したところ、PolIIにおいて、TkoRNAPには存在しない複数の挿入部位が見つかった。この挿入部位を通して、PolIIはプロモーター上に巨大な転写開始前複合体を形成するために、メディエーターや基本転写因子と相互作用していることが明らかになった。さらに、ストーク部分が存在しているにもかかわらず、TkoRNAPのクランプ部分は開いた状態であり、ストーク部分はコア部分から12.4°程スイングしていた。このスイングが転写開始前複合体および転写複合体の形成に重要であることが示唆された。一方、2.0Å分解能以上のTkoRNAPのX線結晶構造を決定するために、ストーク部分を欠損させたコア部分だけのTkoRNAPを調製することができ良質な結晶も得ることができた。 (2)TkoRNAPのFサブユニットの機能的役割 Fサブユニット遺伝子破壊株から、TotalRNAを抽出し、それを用いたRNA-seq解析の共同研究を行った。その結果、分子シャペロンであるCpkBおよびその他の遺伝子の転写量が減少していることが判明した。
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