研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
25118705
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小林 麻己人 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50254941)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 転写因子 / Gata1 / Pu.1 / 細胞運命 / ゼブラフィッシュ |
研究概要 |
転写因子クロス・アンタゴニズムは、幹細胞の多分化能維持とマスター型転写因子による細胞運命決定を説明する有力な説として知られる。中でも著明なのは、赤血球-骨髄球共通前駆細胞における赤血球系転写因子Gata1と骨髄球系転写因子Pu.1のクロス・アンタゴニズムであるが、その制御の分子基盤は意外とわかっていない。本研究では、転写因子クロス・アンタゴニズムの分子基盤の理解を目的に、ゼブラフィッシュの遺伝学とイメージング技術の活用を戦略として、Gata1-Pu.1クロス・アンタゴニズムの制御機構解明を目指した研究を行った。 本年度は、、Gata1 とPu.1 タンパク質の量的変動の測定を目的に、ゼブラフィッシュGata1 及びPu.1 に対する抗体作製するとともに、Pu.1 及びGata1 遺伝子の発現抑制に必要な遺伝子領域の同定を目的に、ゼブラフィッシュ胚を用いたトランスジェニックレポーター解析を行った。Gata1とPu.1に対する抗体は作製し、現在、その有効性を検証している。レポーター解析は、Gata1遺伝子に関しては、欠失構築の解析を行うことにより、内在性遺伝子発現プロファイルの再現に必要な遺伝子領域として、既知のプロモーター領域や第一イントロン領域以外に、遺伝子ボディーの領域が必要なことを見出した。Pu.1に関しては、必要な遺伝子領域は明らかにできたが、十分性までは確認できなかった。一方、Pu.1ノックアウト系統の樹立にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Gata1遺伝子発現において、従来知られていなかった遺伝子ボディ領域の重要性を示唆できたことは重要な成果である。Pu.1遺伝子の発現に関しては、報告されている遺伝子領域だけでは、内在性遺伝子発現は再現できないことがわかり、より広範な領域を探索する必要が生じた。一方、Gata1変異系統に加え、Pu.1ノックアウト系統も準備できた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作製したGata1及びPu.1トランスジェニック系統と、Gata1変異系統及びPu.1ノックアウト系統との二重遺伝子改変系統を系統化し、細胞運命変化に応答する遺伝子制御領域を同定する。一方、初年度に作製した抗体を用いて、Gata1及びPu.1タンパク質の量的変動を調べる。
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