公募研究
細胞機能特異的な遺伝子発現制御において、後成的遺伝子発現制御(エピジェネティクス)が重要な役割を果たしていることが、近年幅広い分野で明らかにされてきている。特に、ヒストンの翻訳後修飾(ヒストン修飾)は、細胞機能に応じて可逆的に付加・除去される一方で、細胞分裂を経ても継承されるという性質を持つため、細胞分化過程における遺伝子発現制御の基盤として働くことが示唆されている。我々は最近、ヒストン修飾特異的抗体由来の一本鎖可変領域(scFv; single-chain variable fragment)を用いて、生体内のヒストン修飾動態観察に成功した。本課題では、H4 Lys20モノメチル化修飾特異的蛍光プローブ(H4K20me1-mintbody)を発現するマウスを作製し、H4K20me1動態の生体イメージングを試みた。H4K20me1-mintbody発現マウスは、FRT/flippaseシステムによるコンディショナル型のH4K20me1-mintbody発現カセットを、ROSA26遺伝子座にノックインしたマウスを作製し、さらに全身性にflippaseを発現するトランスジェニックマウスと掛け合わせて作成した。H4K20me1-mintbodyを発現させた雌胎児(10.5~12.5日齢)を観察した結果、不活性X染色体上にH4K20me1が濃縮されていることがわかった。また成獣雄マウスの精巣では、精子形成パキテン期のXY bodyにH4K20me1が濃縮されていることが観察された。今後これらの部位におけるH4K20me1濃縮過程とその意義について、明らかにしていく予定である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Methods
巻: 70 ページ: 77-78
10.1016/j.ymeth.2014.08.002
Nature
巻: 516 ページ: 272-275
10.1038/nature13714
http://kimura-lab.bio.titech.ac.jp/publications.html