公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ビタミンD刺激による造血幹細胞の骨芽細胞系列への異常分化増殖が骨髄線維症における骨髄変化の本質である可能性を追求し、この骨髄移植しか根治治療のない疾患に対する骨代謝に注目した新たな治療法開発の礎とすることを研究の目的としている。現在までのところ、骨髄移植後骨髄微小環境内で高濃度ビタミンDに曝された造血幹細胞が骨髄線維症を惹起する細胞に分化するモデルを確立している。この細胞がalphaSMA陽性の異常なマクロファージであることが当該年度の研究で明らかとなった。また、異常なマクロファージは遺伝子異常を起点とする骨髄線維症モデル JAK2 V617Fトランスジェニックマウスでも存在することを明らかにした。現在のところ、この細胞が環境側の骨芽細胞系列の細胞の異常増殖を促進し、ドライブされた骨芽細胞からコラーゲン線維が大量に産生され線維症を発症する可能性を捉えるにいたっている。また、ビタミンDに関しては、ビタミンD受容体欠損マウスに野生型骨髄を移植するモデルにおいて、低ビタミンD食で飼育することにより線維症発症を抑制できることの確認を終了した。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の研究により、骨髄移植によって造血幹細胞から分化して骨髄線維症を惹起する細胞の本体が以上マクロファージであることが明らかとなり、その病態把握の全体像が可能となたこと、次年度での治療標的としての対象細胞が定まったことから、当初の予定通りの進捗と考える。
平成25年度に捉えた骨髄線維症発症のトリガーとなる異常マクロファージが、どのように骨硬化を起こす骨芽細胞を増勢させるのかについて、免疫染色を用いて増殖因子や細胞間コンタクトなどを詳細に観察する。また、ビタミンDがいかにして造血幹細胞を異常マクロファージに分化させるのかについて、未分化造血細胞株FDCP-mix を用いて特に細胞内シグナル経路も含め検討する。更に低ビタミンD食などにてJAK2V617Fトランスジェニックマウスの病態を改善させるなどビタミンDシグナルを標的として治療戦略を策定する。
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