公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
LaminA/CのcDNAをレトロウイルスベクターで活性化CD4 T細胞へ導入してヘルパーT細胞サブセット(Th1、Th2)分化について検討したが、残念ながら導入によってTh1/Th2分化は影響を受けなかった。そこで、ヒトの早老症であるHutchinson-Gilford progeria syndromeの原因となるlaminA/C遺伝子変異(LMNA*G608G)のBACトランスジェニックマウスを購入し、現在T細胞分化や機能を解析中である。Menin、Gfi1によるLaminA/C発現解析の研究では、本年度は腫瘍抑制因子Meninの役割を中心に解析を進めた。活性化CD4 T細胞を用いたChIP-シーケンスにより、LaminA/Cの上流、イントロンなど幾つかの領域でMeninが強く結合していることが明らかとなった。また、Menin欠損の活性化CD4 T細胞におけるLaminA/C領域のヒストン修飾について検討したところ、Menin欠損CD4 T細胞では、ヒストンH3K4トリメチル化やH3K27アセチル化などの活性化ヒストン修飾のレベルが上昇していた。さらに、FAIRE-シーケンスによりMenin欠損CD4 T細胞では、LaminA/Cの領域がより開いた状態にあることが分かった。これらの結果は、MeninがLaminA/C遺伝子座のクロマチン状態を閉じた状態にすることで、LaminA/Cの発現を負に制御していることを示唆している。私たちは、本年度、MeninがCD4 T細胞老化を抑制していることを報告しており、今後はMeninによるT細胞老化の調節にLaminA/Cの発現制御が関与しているのかについて解析したいと考えている。
3: やや遅れている
T細胞におけるLaminA/Cの発現制御における腫瘍抑制因子Meninや転写抑制因子Gfi1の関与は明らかにできているが、LaminA/Cの発現変動がT細胞分化/機能に与える影響については明らかにできていない。
これまでは、CD4 T細胞の機能、特にTh2細胞分化・機能におけるLaminA/Cの関与を中心に解析をおこなったがポジティブな結果は得られていない。そこで、今後は制御性T細胞やCD8 T細胞機能におけるLaminA/Cの発現変動や変異遺伝子の影響についても解析することで、活性化T細胞運命決定におけるLaminA/Cの役割を明らかにしていく。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 5 ページ: 3555-3566
10.1038/ncomms4555.
PLoS ONE
巻: 8 ページ: e61785-e61785
10.1371/journal.pone.0061785.
http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/immunology/