公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々はPU.1の発現低下が直接に多発性骨髄腫の発症に関わっているかを調べるためにPU.1をB細胞の最終分化段階であるpost germinal center B cellから形質細胞にかけてknockoutしたconditiaonal knockout mouseを作成している。実際にはPU.1-loxPマウスと、形質細胞のみでPU.1のknockoutを達成するためのCre蛋白をGerminal center B cellから形質細胞でのみ発現するCγ1-Creマウスを交配することによりPU.1を形質細胞でのみ欠失させたconditional knockout mouseを作成して現在そのphenotypeを解析中である。50%以上のマウスにM蛋白血症を認めた。形質細胞への分化を促進するためにさらにNP-CGGでマウスを刺激するとM蛋白をもつマウスの割合が70%程度に増加した。これらのマウスのうち18-24ヶ月の高齢のマウスを調べると脾腫を認めるもの、腹腔内の腸間膜に腫瘍を認めるものが11 匹中7匹に認められた。これらの組織ではB220+の成熟B細胞が増殖しており、一部は形質細胞の増殖を認めた。従って、これらのマウスは成熟B細胞リンパ腫ないしは一部に骨髄腫様の病態が起こっていることがわかった。以上からPU.1が成熟B細胞及び形質細胞の腫瘍抑制因子である可能性が示唆された。また、成熟B細胞リンパ腫を認めた脾臓細胞を免疫不全マウスに移植すると著明な肝脾腫を来してマウスは1ヶ月以内に全例死亡したことからこの細胞が腫瘍であることが示された。現在この腫瘍にPU.1をlentivirusで導入しさらに免疫不全マウスで移植して、PU.1の腫瘍抑制作用がin vivoでも認められるかを検討中である。
2: おおむね順調に進展している
殆どの解析の仕事は終了し、更にPU.1の腫瘍抑制作用がin vivoでも認められるかを検討中であるため。結果が出る次第に論文を作成する予定である。
PU.1による腫瘍抑制遺伝子の機能のメカニズムを更に解析をしたい。さらに多発性骨髄腫やB細胞リンパ腫の治療応用にPU.1の発現誘導が使えないか、分子標的療法薬の開発を目指していく。また、このマウスでは一部に肺の繊維化が起こることからそのメカニズムも解析したい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)
International Journal of Oncology
巻: 43 ページ: 1809-1816
10.3892/ijo.2013.2134
Blood
巻: 121 ページ: 962-970
10.1182/blood-2012-05-431429