研究領域 | 多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
25118731
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
岡澤 慎 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40414130)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 膜電位 / 遺伝子発現 / カルシウムシグナル |
研究概要 |
増殖期の未分化な細胞は恒常的に静止膜電位が浅く脱分極傾向にあるが、最終分化した細胞では分極していることが様々な組織の細胞で報告されている。小脳の主要な神経細胞である小脳顆粒細胞は、分裂期から成熟期にかけて、静止膜電位が脱分極側から分極へとドラマティックに変化する。この際、細胞内のカルシウム濃度の変化を伴い、小脳顆粒細胞はダイナミックな形態的な変化と遺伝子発現の変化が起こる。 研究代表者は生後発達期に起こる、小脳顆粒細胞の膜電位の変化に伴う細胞内カルシウム濃度の変化がどのように遺伝子発現を制御しているのかを明らかにするために、カルシニュリンの制御系を検討した。小脳顆粒細胞で成熟に伴い活動電位依存的に発現上昇する遺伝子の一つとして同定されており、カルシニュリン制御因子の一つと考えられているtescalcinのほかに、新たに小脳顆粒細胞でカルシニュリンに結合する因子としてcalcipressinを同定した。そして、これらの遺伝子発現の経時変化をin vivoと初代培養の系で定量的PCR法を用いてmRNAレベルで解析した。また、長期培養時のカルシウム測定のために、遺伝子コード型蛍光プローブによるカルシウム測定やチャネルロドプシンを用いた細胞内カルシウム濃度の制御システムの構築を試みている。また、多電極チャンバーによる初代培養からの活動電位記録の解析を行った。さらには、脱分極条件下でカルシニュリン依存的に発現が上昇し、成熟に伴い発現が減少する、未成熟遺伝子の発現が抑制されるメカニズムを検討し、未成熟遺伝子の発現を制御するカルシウムシグナル分子を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小脳顆粒細胞を用いて、分裂期から成熟期にかけてのカルシウムシグナルによる遺伝子発現コントロールメカニズムに新たな知見を加えることができたので。
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今後の研究の推進方策 |
今後、これまでの知見を元に、カルシニュリン制御因子の静止膜電位による発現制御やsiRNAによる効果の検討を行う。さらに、Etv1による遺伝子発現制御とエピジェネテックな制御の関係も検討したい。
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