公募研究
本研究では、植物のNIMA関連キナーゼ(NEK)に着目し、形態形成と環境応答の協調機構を解析した。本年度は以下の課題について研究を進めた。①シロイヌナズナNEK6の機能:nek6変異体の表現型の再検討から、NEK6が細胞伸長の促進と方向制御の両方に関わること、様々な器官の伸長に必要なことを示した。NEK6の発現誘導株と細胞内動態の解析から、NEK6が微小管の脱重合を引き起こすことがわかった。微小管脱重合の分子機構を明らかにするため、チューブリンのリン酸化部位を同定し、これらの部位のリン酸化が脱重合に関わることが示唆された。以上のことから、NEK6はチューブリンリン酸化を介して微小管を脱重合し、細胞伸長を制御することが明らかになった(論文準備中)。②シロイヌナズナNEKファミリーの機能:シロイヌナズナNEK1-7の機能解析を進めた。NEK4-7は維管束で発現しており、変異体の表現型からNEK6,7が維管束形成に必要であることがわかった。nek6やnek多重変異体の表現型から、NEKファミリーが細胞分裂に関与すること、葉や根などの器官伸長を制御することがわかった(論文投稿中)。③NEKのストレス応答における機能:nek6やnek多重変異体ではストレス応答遺伝子の発現が変化し、ストレス耐性が低下する。nek6変異体において発現が増加している遺伝子を見出した。また、アブシジン酸がnek6変異体に類似した突起形成を引き起こし、この過程に微小管脱重合が関わることが示された(論文投稿中)。③ゼニゴケNEKの機能解析:コケにはNEKが1つしかないため機能解析が容易で、NEKの進化を考える上でも重要である。ゼニゴケとヒメツリガネゴケからNEK遺伝子を単離した。ゼニゴケMpNEK1の発現パターンと遺伝子破壊株の表現型から、MpNEK1が細胞伸長を制御することが明らかになった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件)
Frontiers in Plant Science
巻: 5 ページ: 94
doi: 10.3389/fpls.2014.00094
Proc. Natl. Acad. Sci. USA
巻: 111 ページ: 11557-11562
doi:10.1073/pnas.1408960111