公募研究
本年度は前年度に確立したべき乗則型数式モデル中の速度パラメーター決定法を使い、実際の代謝反応データから数式モデルの構築を行うとともに、そのシステムの特徴を明らかにした。また、本研究支援のため、感度計算を効率よく行うためのソフトの開発とその性能評価を行った。具体的には以下のようである。最初に、定常状態にあるシロイヌナズナのカルス培養系で外部から細胞内へリジン、スレオニンを添加することで代謝物濃度の時間変化を誘引し、これをLC/MSにより測定して得たメタボロームデータに基づき、U-systemモデルを構築した。本モデルは、主要な代謝系中の351個の代謝物濃度、441個の流束の変化を記述する、細胞内代謝物濃度の時間変化から決定された、これまでに例のない大規模な代謝反応モデルである。これを用いてシステム解析を行い、またシステムが変動したとき元の状態へ復元する状況(環境突破力)をシミュレーションにより明らかにした。つぎに、システム感度および固有値の超高精度計算について検討した。代謝反応ネットワークの特徴を明らかにする場合、感度計算の実行が最も効率的である。そこで、COSMOS (Computation of Sensitivities in Model ODE Systems)と名付けた大規模システムにも対応できる定常状態感度計算ソフトを開発した。本ソフトでは、定常状態値を簡単に探し出すための工夫やComplex-step法(計算値が丸め誤差程度である数値微分法)の導入により、機械精度と同等の奇跡的な精度で感度値計算を行う。また、ネットワークの特性を理解するのに不可欠な固有値の計算も超高精度で行われる。さらに、我々が先に開発した動的感度ソフトSoftCADSを芳香族アミノ酸モデルへ適用して動的感度計算を行い、動的感度解析の重要性を明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Eco-engineering
巻: 27 ページ: 35-42
BMC Systems Biology
巻: 8 ページ: S4 (1-16)
10.1186/1752-0509-8-S5-S4
IEEE/ACM Transactions on Computational Biology and Bioinformatics
巻: 11 ページ: 1077-1086