公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
これまでの解析から、シロイヌナズナのヒストン脱アセチル化酵素遺伝子hda6の変異株では、乾燥ストレス条件下で酢酸発酵系の遺伝子が強く発現し、内在性の酢酸量が増加していることがわかっている。また、シロイヌナズナの乾燥耐性付与には、HDA6によって直接制御される酢酸発酵経路の活性化が必須であることがわかった。さらに、野生型シロイヌナズナに酢酸を直接与えるだけで、生長阻害もなく植物に強い乾燥耐性付与が可能な事を明らかにした。今年度は、hda6変異体における乾燥耐性獲得機構の解明をめざしてさらに研究を進め、以下の知見を得た。1) ChIPアッセイの結果、hda6変異体におけるヒストンH4のアセチル化レベルがHDA6のターゲット遺伝子(酢酸発酵経路のPyruvate decarboxylase 1 (PDC1)およびAcetaldehyde dehydrogenase 2B7 (ALDH2B7)領域で野生株よりも増加していることを見出した。2) 乾燥ストレス条件下でのhda6変異体におけるメタボローム解析の結果、乾燥耐性付与と関連する適合溶質(プロリン、トレハロース、myo-イノシトールなど)に関して、hda6変異体と野生株の間で顕著な差は見出されなかった。3) 酢酸による前処理から乾燥ストレス処理までの過程における遺伝子発現プロファイルを、シロイヌナズナオリゴマイクロアレイを用いて解析したところ、酢酸前処理した場合コントロール(水の前処理)に比べて約1,800個の遺伝子の発現が増加していた。
2: おおむね順調に進展している
ChIP解析、メタボローム解析、トランスクリプトーム解析に関して共同研究者と順調に進めることができたため。
酢酸前処理から乾燥ストレス処理に至る過程のトランスクリプトーム解析に関してさらにタイムコースをさらに詳細にとって解析を進める。これまでの解析結果をまとめTopジャーナルに発表する。
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Plant Cell
巻: 25 ページ: 4378-4390
10.1105/tpc.113.118364
http://www.csrs.riken.jp/jp/labs/pgnrt/index.html