研究領域 | 生物多様性を規範とする革新的材料技術 |
研究課題/領域番号 |
25120508
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
植木 龍也 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10274705)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生物多様性 / 生体機能利用 / ホヤ / 金属イオン / 微細構造 / タンパク質 |
研究概要 |
海産動物ホヤ類はセルロースを主成分とする被嚢で体の表面を保護している。同じ主成分をもつ一つながりの被嚢が接着と付着防止という二面的性質を兼ね備えている。本研究では4種のホヤを対象として、被嚢の構造解析と生化学的解析を行い、それらの相互比較から接着物質・付着防止物質の単離・同定と機能解析を進め、外部刺激による脱着も加味した物質・構造模倣を目指した研究を実施する。 平成25年度は、各々のホヤから被嚢を摘出し、被嚢の構造解析と生化学的解析を行った。 (1)光学顕微鏡観察を用いて種々の染色法による各成分の分布を検証した。接着部位に特徴的な足場構造を発見した。(2)TEMおよびSEMによって、表面および断面の微細構造を検証した。SEM観察においては本領域計画班の開発したナノスーツ法が有効であった。(3)SEM-EDSによる金属分布の二次元的可視化を試みた。(4)被嚢の部域ごとの重金属の定量を行った。2種類の金属元素の局在が接着性と関連する手がかりを得た。(5)被嚢から抽出したタンパク質を電気泳動で分離・精製し、マススペクトル解析によるタンパク質の同定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体としては概ね順調であるが、当初計画の内、以下の項目が未完了である。 (1)SEM-EDSによる金属分布の二次元的可視化。 (2)各々のホヤの被嚢中の酸の分析、酸と共存するカウンターイオンの分析。 (3)付着防止物質の単離・同定。 (4)外部刺激による脱着の検証。
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今後の研究の推進方策 |
全体としては当初の研究計画に添って推進する。遅れ気味である4項目についてそれぞれ以下のように進め、研究期間内の遂行を目指す。 (1)最近学内に導入された共同利用機器「クライオSEM-EDS」を新たな手法として利用し、金属分布を二次元的に可視化する。 (2)HPLC、イオンクロマトの技術的工夫により解決する。 (3)もっとも付着しにくい部位である入水孔・出水孔に標的を絞って解析する。 (4)成体ではなく幼若個体を用いることで効率的に進める。
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