公募研究
翻訳レベルでの遺伝子発現制御に関連した、P-ボディー(PB; DCP1またはDCP2をマーカー)およびストレス顆粒(SG;eIF1A2をマーカー)とよばれる直径約1-2 μmの構造体が細胞質内に存在する。dcp1変異をPDCP1::DCP1:GFP遺伝子で、dcp2変異をPDCP2::DCP2:GFP遺伝子で相補した形質転換体シロイヌナズナ(DCP1-GFP相補体、DCP2-GFP相補体)を用いてP-ボディー、eIF4A2-GFPを導入しストレス顆粒を可視化したそれぞれのシロイヌナズナを用いてSGの解析を行った。PB,SGが種々の環境適応・応答過程に関与しRNA分解や翻訳抑制を介した遺伝子発現機能を明らかにすることを目標とした。PBを可視化したシロイヌナズナを用いて解析:発芽14日後のDCP1マーカー可視化植物体に高温処理を与えたところ、PBの数、大きさが有意に増加した。DCP2マーカーでもPBが凝集することが確認されるが、平温時では顆粒は認められない。DCP1とDCP2双方でストレスによって挙動が異なることが初めて明らかとなった。40℃高温90分(高温処理)で増加した顆粒の数が一定レベルに達したあと、再度22℃平温に戻すと(高温解除)顆粒数、局在は最初の状態に戻った。高温処理、高温解除の前後でRNA-seq解析を行った。熱ショックタンパク質mRNAなどは高温時に蓄積があがり、解除時に減少した。逆の共同をする遺伝子として細胞壁や細胞膜関連遺伝子群が確認された。相反する挙動をするmRNA種とDCP1/DCP2ボディーの機能関連がいくつか示唆され、カウンターストレス装置としての機能が強く示された。SG可視化植物をもちいて、非常に厳密に特定の気温(プレート上では34℃)でSGを形成することが明らかとなった。低温や単なる温度差に対しては形成しない。SG植物にEMS処理を施したあとのM2子孫から、高温にさらしてもストレス顆粒形成が起こらない突然変異体が複数単離された。いくつかの変異体では高温耐性が増すことが示された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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