研究領域 | 植物の環境感覚:刺激受容から細胞応答まで |
研究課題/領域番号 |
25120711
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小胞体 / 分子シャペロン / 高温ストレス / 花粉形成 / 受容体キナーゼ / シロイヌナズナ |
研究概要 |
研究代表者らは、小胞体品質管理において異常タンパク質の選別過程で機能する因子である、小胞体Jタンパク質AtERdj3Bや、糖タンパク質特異的品質管理因子UGGTに関するシロイヌナズナ変異株が、高温ストレス下で花粉成熟過程に異常を示すこと、その原因が花粉成熟過程に必要な細胞膜の受容体様キナーゼ(LRR-RLK)の細胞膜輸送の欠損によることを見いだした。本研究では、LRR-RLKに着目した解析によって小胞体品質管理因子の花粉成熟過程における役割を明らかにするとともに、小胞体分子シャペロン・品質管理装置によるLRR-RLKの認識と機能発現の特異性の解明を目指している。 本年度は、領域内の共同研究によって、花粉形成過程で機能するLRR-RLKの細胞外ドメインと3種類の小胞体Jタンパク質を無細胞タンパク質合成系を用いて合成し、これらの間の相互作用解析を行った。この結果、LRR-RLKと小胞体Jタンパク質間の相互作用には特異性が存在すること、これがAtERdj3Bに関する変異株の示す花粉成熟の特異的な過程の欠損と関連していることを示唆する結果を得た。 本年度は、昨年度までに見いだしたaterdj3b uggt二重変異株が示す矮性と不稔の表現型の原因についても解析を進めた。その結果、この表現型がLRR-RLKのひとつであるBri1の機能欠損と関連していることが示された。一方で、uggt単独変異株が示す高温ストレス下での不稔は、Bri1の機能欠損によるものではないことが示唆された。 本年度は、次年度以降の解析の準備として、LRR-RLK-GFP発現ラインを構築するとともに、領域内の共同研究によって発達中の葯1個を用いた遺伝子発現解析実験系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標の一つであった、LRR-RLKと小胞体分子シャペロンの相互作用解析について結果が得られつつあること、次年度の解析のための準備が進んでいることから、当初予定していた目的はおおむね達成できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
LRR-RLKと小胞体Jタンパク質間相互作用解析の結果、Jタンパク質の変異株の組み合わせで単独欠損株とは異なる花粉成熟異常の表現型が生じることが予想されることから、本年度は二重変異株を用いた解析も進めていく。また、LRR-RLKの細胞内輸送について、GFP融合タンパク質発現ラインを利用して検討し、機能欠損との関連を明らかにしていく予定である。花粉成熟異常がどのようにして生じるかについては、葯における遺伝子発現解析に加えて、質量顕微鏡を用いた葯表面の脂質組成解析を進めることで検討していく予定である。
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