公募研究
ポストゲノム時代において、様々な網羅的情報の解析(オミクス研究)が進められてきたが、透過電子顕微鏡(TEM)をオミクス研究に用いることはこれまでほとんどなかった。本研究は、TEMを用いたオミクス解析を提案するものであり、以下の2つの目的を掲げた。1つ目は、葉緑体突然変異体の葉緑体を網羅的にTEM観察し、遺伝子と葉緑体構造の関係性等を示すことである。2つ目は、組織・器官全体に渡る広域TEM像取得法の開発と、電顕アトラスの公開である。また、並行してオルガネラ分類法・自動識別法の開発を進めることで、TEMレベルのオルガネラの構造変化を統計学的及び総括的に処理することも目指した。1.葉緑体突然変異体の網羅的なTEM観察葉緑体タンパク質をコードする核遺伝子にタグが挿入されたシロイヌナズナ突然変異体に対して網羅的TEM観察を行い、Web上のデータベースにTEM像も含めて情報を公開した。見た目からだけではわからない色素体内部の構造異常や特徴を多数見つけた。クロロフィルa/bの量比とチラコイド量比との間の法則性や、遺伝子機能と葉緑体構造との関係性等についての情報を得た。多くの葉緑体TEM像を客観的な分類や統計処理に活用することをめざし、各変異体の葉緑体TEM像の自動分類法の確立を行った。2.広域TEM像取得法によるオルガネラ解析超広域のTEM画像を全自動で取得することに成功した。さらに、広域TEM像からのオルガネラ自動認識法を確立した。この広域TEM像取得法を用いて、シロイヌナズナ茎頂における高温および低温ストレス時の変化や、維管束における高CO2時の変化等を解析した。また、植物の生活環を通してのオルガネラ変化を総合的に捉えるために、シロイヌナズナの葉・胚・葯・根などの種々の組織・器官の広域TEM像の収集を進め、植物電顕アトラスとしてWebサイト上に公開した(現在は限定的公開)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件)
Bioimages
巻: 印刷中 ページ: in press
Plant Molecular Biology
巻: 85 ページ: 411-428
10.1007/s11103-014-0194-9
Plant Cell Physiology
巻: 55 ページ: 1544-1555
10.1093/pcp/pcu084
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 7794
10.1038/srep07794