動物は、周辺温度の変化を感じ取り、適切に対応することが出来る。6度の気温変化に対しては、適切に暑さ寒さを感じ、移動もしくは体温調節のための行動をとる。一方、植物においてこのような鋭敏な温度応答機構が備わっているかいなか、あるいは備わっていたとしてどのような分子機構でこのシグナルを感知するか、など明らかにされていないことは多い。シロイヌナズナやコムギなど、冬期に生育する植物は好適な生育温度である20度を6度上回ると徒長形態をしめし、また6度下回ると矮性形質をしめす。これは、周辺温度の変化を感知した積極的な応答として評価できるのではないかと考えた。以前までの予備的研究から、この形態変化を示すことの出来ない変異体としてpif4の新規アリルを単離することに成功し、PIF4のmRNAが6度の高温条件で誘導され、PIF4タンパク質が6度の低温で分解されることを独自に見出した。 この実験系をさらに工夫し、恒常的にPIF4を発現させた形質転換植物を背景に、突然変異を化学的に誘導し、低温を感知することで恒常的に発現するPIF4を分解するシグナル系に異常を呈する新規変異体を探索した。 PIF4の安定化は、胚軸の徒長として外部形態の変化としてスクリーニングできるので、徒長変異体を選抜し、さらにPIF4の安定株を選抜することで、最終的に独立の25系統を選抜することに成功した。これらの変異系統のゲノム遺伝子配列を、次世代型シークエンサーでの配列解析によって明らかにし、原因遺伝子箇所を同定することを試みている。
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