研究領域 | 新海洋像:その機能と持続的利用 |
研究課題/領域番号 |
25121505
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
東海 正 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (30237044)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流し網 / 網目選択性 / シマガツオ / アカイカ / ツメイカ / ハマトビウオ / 漁獲機構 / 羅網過程 |
研究概要 |
新たな海洋区系とその機能を評価する上でキーとなる高次捕食生物は,それぞれ種ごとに体サイズ構造(体長組成や年齢構造)を有して,成長にともなう区系間を移動することが知られている。生態系の構造と機能を理解する上で,生物量のサイズ別時空間変動を精確に把握する必要がある。一方で,これら沖合,外洋域の生物種の採集には流し網が用いられ,流し網の網目選択性によって特定の体の大きさの個体を効率よく採集することになる。この資源調査用の流し網において網目選択性による標本の偏りを少なくするために,つまり非選択的に近づけるために,できるだけ様々な目合を組み合わせるように努めているものの,その目合の組み合わせにも限りがある。その生物量をより精確に推定するには,こうした漁具によるサイズ選択性を求めて,体長組成(サイズ構造)を補正して真のサイズ構造を得る必要がある。 そこで初年度の研究として,北太平洋西部域におけるアカイカ流し網調査のデータを用いて,シマガツオやアカイカ,ツメイカ,ハマトビウオ,その他,高位捕食者に対する流し網の選択性曲線を推定した。これによって,流し網に最も効率的に採集される生物の体長を明らかにすることができたとともに,特にシマガツオとアカイカ,ツメイカについては,そのときの魚体形状,特に胴周長を網目内周長と比較することで,その漁獲機構についても明らかにすることができた。 本研究では,採集具である流し網の選択特性を種ごとに解明して,体サイズ構造の時空間構造におけるその影響を補正することに取り組み,区系の決定に取り組む他の研究課題にその成果を引き渡す。また,本研究の成果は,流し網の調査,資源・漁業管理に関して広く利用されることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたほぼすべての魚種について,選択性曲線の推定に取り組み,一定の成果を得ることができたことから,おおむね順調に進展していると評価した。特に,未解明であった流し網への“刺し”や“鰓かかり”以外の羅網過程について,採集効率を評価する端緒を得たことも大きな進展につながることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
特に大きな変更はなく,予定通り,今後は,得られた選択性曲線を用いて,体長組成を補正することに取り組む。 昨年度に見いだされた新たな課題として,シマガツオの大型魚が相対的に小さな網目の流し網に羅網することが,“刺し”や“鰓かかり”以外の効果であると推察されることから,この場合の相対効率を評価するための新たなモデルの構築を行う必要があり,すでにこれについては沿岸における他の魚種,マイワシやサワラを含めてモデルの構想は練っており,解明に取り組みたい。
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