研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121701
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石森 浩一郎 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20192487)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヘム / 金属蛋白質 / 生体金属 / 鉄代謝 / 構造解析 |
研究概要 |
本年度の研究実績の概要は以下のとおりである. 制御系を構成する蛋白質の立体構造解析 Irr制御系 平成24年度に見出した酸化修飾されていないIrrの精製方法をさらに改良し,鉄イオンの混入を極力控えた最少培地を用いることにより,再現性よく酸化修飾されていないIrrを培地1リットル当たり0.5 mg程度の収量で単離・精製する手法を確立した.このようにして得られたIrrとその標的DNAとの複合体の構造解析を行うため,Irrと標的DNAが安定に複合体を形成する条件を探索した. IRP制御系 FBXL5の相互作用部位と想定されるIRP1のドメイン1(IRP1-D1)について,その部分のみを切りだして発現させる大腸菌による発現・精製系の確立を試みた.IRP1-D1部分を完全長のIRP1から切り出し,His-tag融合蛋白質としての発現を試みたが,十分量の発現は認められなかった.原因としては,ドメイン化したことによりその構造安定性が低下したものと考えられたため,完全長IRP1の発現に変更し,酵母系を用いてその発現系の構築を試みた.その結果,収量は少ないものの酵母系によるIRP1の発現系の確立に成功し,今後収量を向上させるため,プロモーターと酵母株の検討を行う予定である. Irr-FC複合体の蛋白質間相互作用解析 Irrにヘムを供給すると想定されているフェロキラターゼ(FC)とIrrの相互作用を検討するため,FCの発現・精製系の確立を試みた.FCの発現系としては精製後切断が可能なHis-tag融合蛋白質として設計し,pET系プロモーターで発現ベクターの構築に取り組んだが,十分な発現レベルは得られず,現在発現系の改良に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画の各項目に対する達成度は以下のとおりである. 制御系を構成する蛋白質の立体構造解析 Irr制御系 酸化修飾されていないIrrの大量発現・精製系については当初の目的通り達成できた.また,Irrの標的DNAへの親和性も決定でき,安定なIrr-DNA複合体の形成条件についても決定することができた. IRP制御系 当初の目標のIRPドメイン1の発現・精製については予定通りの成果を挙げることはできなかったが,完全長のIRP1を酵母発現系を用いて発現することには成功したため,詳細な構造解析に必要なIRP1標品の確保に一定の目途がついたと判断でき,当初の目的はほぼ達成できたと考えられる. Irr-FC複合体の蛋白質間相互作用解析 本年度ではFCの発現系とその単離・精製を目指し,その目的は達成できたが,発現量が予定より少なく,今後発現系の改良を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画はほぼ予定通り達成できので,平成26年度は本格的に蛋白質複合体の構造解析に取りかかることが可能になった.平成25年度の成果を元に,平成26年度特に重点を置いて遂行すべき実験内容としては,完全長IRP1の発現と精製とFC発現系の確立とその大量精製であり,特に,構造的解析の遅れているIRP1は,その発現方法が平成25年度で確立できたことから,優先させて実験計画を進める予定である.
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