IRP制御複合体の蛋白質間相互作用解析 IRPと複合体を形成すると考えられるmRNAのIREに対する結合特性,および,ヘムによるIRE結合阻害効果を検討した。その結果,ゲルシフトアッセイでは,その蛋白質としての安定性が低いため,明確な結果が得られなかったIRP2のIRE親和性について,その解離定数はIRP1のおよそ50%程度の0.013 mMであることが示された。さらに,そのヘムによる阻害効果はついては,1当量のヘムの添加で明確な阻害効果が観測され,阻害効果が現れるまでに数当量のヘムが必要なIRP1に比べ,IRP2のほうが低濃度のヘムによって阻害がかかることが示された。このことは細胞内においてIRP2が主な鉄濃度センサーとして機能していることとも対応している。さらに,IRPのIREからの解離に関しては,精製蛋白質を用いた実験では,数十当量のヘムの添加が必要であり,細胞内においてはヘムシャペロンによるIRPへのヘムの輸送および添加と,そのヘム結合によるIRPのIREからの解離が示唆された。一方,細胞内において,鉄高濃度時にIRPと相互作用することでIRPをユビキチン化し,最終的にはその蛋白質分解を促進するFBXL-5蛋白質についても,その大量精製系の確立を試みた。種々のプロモーターの検討の結果,大腸菌としてRosetta (DE3)pLysSを用い,MBPとの融合蛋白質として発現するのが最も収量が多いことを見出し,FBXL-5の大量精製系を確立することに成功した。 制御系に関連した蛋白質の探索とその機能解析 IRPへヘムを輸送,供与する蛋白質を同定するため,IRPと相互作用する蛋白質の探索を試みた。探索系としては,酵母菌を用いたtwo-hybrid systemと,ヘムを磁気ビーズに結合させた手法について検討を行った。
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