研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121705
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
寺脇 慎一 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (10452533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線結晶構造解析 / 構造生物学 |
研究概要 |
Bicaudal-D(BICD)は、微小管のプラス端からマイナス端方向へ移動する分子モーターであるダイニンと積荷分子群の相互作用を仲介するアクセサリータンパク質として機能することで、輸送小胞などの逆行性輸送を制御する。BICD3のN末端300残基の領域は、ダイニンと結合し、そして、中央領域でGlycogen synthase kinase3β(GSK3β)などと相互作用する。C末端領域は、ダイニンに連結される小胞膜上に局在する低分子量Gタンパク質Rab6や核膜孔構成蛋白質Ran結合蛋白質2などの積荷分子、および、ダイナクチンサブユニットと結合する。また、BICDは、N末端領域とC末端領域が相互作用して自己阻害型を取ることが知られており、これによってC末端ドメインと積荷分子との相互作用は抑制される。本研究では、BICD1自己抑制型、BICD1-Rab6複合体、BICD1-ダイナクチン複合体についてX線結晶構造解析をおこない、モータータンパク質が輸送分子を選別する分子機構の理解を目指す。今年度は、BICD1のC末端領域単独とRab6複合体、N末端領域との自己阻害型の結晶化を進めた。 BICD1-Rab6常時活性化型変異体複合体の試料をもちいて、結晶化を進めたところ、MPDを沈殿剤とする条件で、立方晶が得られた。SDS-PAGEによる組成分析の結果、この条件で得られた結晶は、BICD1 C末端領域単独であることがわかった。しかしながら、BICD1 C末端領域単独の立体構造情報も報告例がなかったことから、単波長異常分散法による位相決定をおこない、分解能1.50オングストロームでの構造決定をおこなった。さらに、BICD1-Rab6複合体の結晶化を進め、硫酸アンモニウムを沈殿剤とする条件で結晶がえられ、分解能2.5オングストロームのX線回折データを収集した。現在、構造解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BICD1-Rab6複合体については、おおむね順調に進行している。しかしながら、ダイナクチン複合体、自己阻害型については、結晶化スクリーニングの実施、見出した結晶化条件の検証など、必要な実験が多い。現在、順に検討を進めているところであるが、クロマトグラフィー装置などタンパク質調製の効率化をはかる必要性を感じている。
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今後の研究の推進方策 |
BICD1 C末端ドメイン単独の構造解析の結果から、特徴的な分子表面(荷電性または疎水性)を形成するアミノ酸残基について、変異を導入し、N末端領域または積荷分子群(Rab6、RanBP2)などとの結合実験をおこない、結合領域について解析をおこなう。これによって、BICD C末端領域の機能について構造的観点から考察をおこなう。ダイナクチン複合体と自己阻害型については、結晶化条件のスクリーニングを進めると共に、得られている結晶については、X線回折実験をおこない、立体構造解析を進める
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