研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121711
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
KIM Minsoo 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (50466835)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 病原細菌 / エフェクター / 感染制御 / X-線構造 |
研究概要 |
腸管病原細菌による感染疾患は、開発途上国を中心に毎年 200 万の人命を奪い、依然として大きな脅威となっている。近年、開発途上国だけではなく、先進国や日本でも多数の被害者を出している。しかし、これらの病原性大腸菌を含む腸管病原細菌は近年、多剤耐性菌による感染症例が増加し、有効なワクチンもいまだ開発されていないため、新たな治療薬の開発が喫緊の課題である。広範な腸管病原細菌に対しての、既存の抗生物質とは異なる新たな治療薬の開発を究極の目的として、赤痢菌の感染成立に重要な病原因子とその標的宿主蛋白質の複合体の立体構造を明らかにし、感染における病原因子の制御機構を明らかにすることを目的とする。本年度は新規病原因子であるOspH,OspJの解析を行った。これら新規エフェクターの感染に果たす役割を調べるために、OspJ, OspHの欠損株をマウス肺に感染させ、感染応答を調べた。野生株赤痢菌感染組織に比べ、OspJ欠損株とOspH欠損株の感染肺組織では多くの免疫細胞の浸潤が認められ、炎症性サイトカインやケモカインの上昇が認められた。免疫応答に関わる制御機構を調べるために、上述の感染組織を用いて、マイクロアレイを行った。その結果、野生株に比べてOspH欠損株の感染肺組織ではCxcl3、ccl3などのケモカインとIL-1bなどのサイトカインの上昇が見られた。OspJ欠損株感染肺組織でもケモカインや炎症性サイトカインの上昇は見られたが、OspH感染組織とは異なる遺伝子の変化が見られた。これらの結果からOspHとOspJは炎症抑制に関わると考えられるがOspHとOspJは異なった経路を利用すると考えられる。OspJの蛋白質精製系を構築し、連携研究者によりこれらのエフェクターの単独状態の結晶化条件検討を行った。さらにOspHとその宿主標的タンパク質との複合体を安定的に精製が可能な精製系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規病原因子の構造解析のための発現系を構築し、感染において炎症免疫反応に関わることを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新規病原因子であるOspH、OspJの単独構造を決定する。宿主標的タンパク質が同定されているOspHとIpaHに関しては、宿主標的タンパク質と複合体構造を決定する。宿主標的タンパク質が同定されてないOspJに関しては、プロテインアレイを用いて、宿主標的タンパク質を同定し、免疫応答に関わる影響を調べる。構造解析を行い、それぞれの病原因子が感染に関わる役割を明らかにする。
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