研究実績の概要 |
mDiaはフォルミン相同蛋白質に属し、哺乳類細胞では3つのアイソフォームmDia1,2,3が発現しており、直鎖状のアクチン線維の形成を担う。3つのアイソフォームの中でもmDia2細胞質分裂に強く関与している。mDia2の細胞質分裂への関与は収縮環近傍でのanillinとの結合することで細胞収縮装置を収縮環に安定的に局在させ、細胞分裂の完遂に寄与する。本研究ではその機構の原子レベルの解析を目的にmDia2-anillin複合体の結晶構造解析を行った。mDia2の異なる長さの部分断片を調整し結晶化を試み、微小結晶を得られた。しかしながら結晶解析を行うに十分な回折像は得られていない。問題点として、mDia2部分断片は単独でも結晶化できないことから、mDia2のanillin領域の結晶化させるためには、その構造を安定化させる何らかのsubstrate(本研究ではanillin断片)との共結晶を得ることが不可欠であると考えられる。mDiaは分子内に複数のdimer形成領域を有しているが、用いているmDia2部分断片 はそのうち1つのdimer領域を含んでいる。精製したmDia2-anillin複合体のstoichiometryは2:1になっていること、また前述したmDia2単独での結晶化ができないことを併せて考えると、結晶を得るためにはmDia2-anillin複合体のstoichiometryを2:2にする必要があると考えられる。そこで、現在過剰量のanillin断片用いて結晶化結晶化を行っている。あわせて、mDia2-anillin複合体を安定化させる第3のタンパク質の同定し、本タンパク質の細胞分裂への関与と機序の解析を行っている。 それ以外に、mDia1のがん化に果たす役割、ROCKの生体機能についてもあわせて解析を行っている。
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