研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121717
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60283587)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 感染症 / パスツレラ毒素 / X線構造解析 / 分子認識 |
研究概要 |
パスツレラ毒素の細胞内活性領域であるC-PMTとGTase活性を有するGalphaタンパク質の複合体の構造解析に関しては、C-PMT並びにGαi2については大腸菌での大量発現系を用いて、アフィニティクロマトで精製した。C-PMT とGαi2との複合体結晶を、数種類の異なる沈殿剤の条件下で作成した。不活型のC-PMT(C1165S並びにC1159SC1165Sダブルミュータント) とGαi2との複合体結晶のスクリーニングについて結晶化を行った。 しかしながら、Gαi2の発現精製量が非常に少ないため、新たに同様の活性を有し、パスツレラ毒素C-PMTによって脱アミド化反応を受ける、Gαi3タンパク質のコンストラクトを新学術研究の班員である東大薬学部・大澤先生より譲り受け、これを用いて、大腸菌での大量発現系を用いて、アフィニティクロマトで精製した。1L培養液より数十mgの精製標品を得る事が出来た。更に、GTase活性型のGαタンパク質のコンフォメーションするべく、GDP・AlF4試薬を用いて、活性型のGαi3タンパク質を調整した。この活性型Gタンパク質を用いて、C-PMTの不活化ミュータントであるC1165S変異体との複合体を作成し、結晶化用のサンプルとした。このタンパク質複合体を用いて、スクリーニングを行った結果、C1165SとGi3alphaとの共結晶が多数の結晶化条件で得られた。これらの複合体結晶をSPring-8において回折データ測定を行い、構造解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究では、結晶化用のGタンパク質を精製する事が困難であったが、新学術研究での交流会を通じて、Gタンパク質高発現系のGαi3タンパク質を研究するグループからその発現ベクターを譲り受け、その後、大腸菌での発現、精製を行う事が出来た。得られたGαi3タンパク質は純度も高く、結晶化に適したサンプルであった事から、飛躍的に結晶化実験を進める事が可能となった。またこれによって多数の結晶を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後はC-PMTのwild type 並びに三つのミュータント、およびGαi3タンパク質を大量精製することで、結晶を作成する事を主に研究を進める予定である。Gαi3タンパク質をC-PMTとの混合溶液の比率を変えて、結晶化サンプルとする。またゲルろ過での分離についても試みる。このような結合、解離を平衡して行う酵素の反応では、両者を混合するだけで結晶が得られる事も多く、これによって得られた結晶を放射光により回折データ測定を行い、複合体の構造解析によって、両者の詳細な結合様式を解明する。
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