研究領域 | 細胞シグナリング複合体によるシグナル検知・伝達・応答の構造的基礎 |
研究課題/領域番号 |
25121718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 細菌 / 電子顕微鏡 / 分子モーター / 生物物理 |
研究概要 |
本研究では、X 線結晶構造解析と極低温電子線トモグラフィー法による構造解析を組み合わせることで、フック完成シグナルに伴う輸送装置の基質認識モード切り替え機構を原子レベルで解明することを目指している。本年度の主な成果は以下に示す。 1. FlgN/FlgK、FliT/FliDおよびFliS/FliCシャペロン・輸送基質複合体は輸送ゲート構成蛋白質であるFlhAのC末細胞質ドメイン (FlhAc) に結合する。本研究では、Biacoreを用いてFlhAcに対する各シャペロン・輸送基質複合体の結合親和性を測定した結果、FlhACに対するFlgN/FlgK複合体の結合親和性はFliT/FliD複合体に比べて僅かに高く、FliS/FliC複合体に比べては14倍程度高いことが判明した。 2. X線結晶構造解析により、FlhAc(F459A)、FlgNおよびFliPのペリプラズミックドメインの構造を決定できた。 3. FlhA-YFPを作成し、輸送装置に組み込まれているFlhA-YFPの分子数を一分子蛍光イメージング法により計測した結果、9分子のFlhA-YFPが輸送装置に組み込まれていることが示唆された。 4. 極低温電子線トモグラフィー法によりin situでの輸送装置の構造解析を行った結果、FlhAcと考えられる電子密度を同定するとともに、FlhAC9量体モデルをその電子密度にあてはめて原子モデルを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
X線結晶構造解析により、FlgN, FlhAc(F459A)およびFliPのペリプラズミックドメインの構造は決定できた。さらに、in situでの輸送装置の構造解析および一分子蛍光イーメージング法により、FlhAの所在およびストイキオメトリーは決定できた。しかしながら、FlhAを中心としたフック完成シグナリング複合体の結晶は未だ得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
安定なフック完成シグナリング複合体を単離精製し、X線結晶構造解析に取り組む。さらに、FlhAcリング複合体の原子モデルの信憑性を遺伝学的および生化学的手法により評価する。
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